ビッグデータ処理のモバイル化を志向するCouchbaseが新たに$60Mを調達

分散コンピューティングの需要やモバイルデバイスの増殖に伴い、コンピューティングのインフラとなるツールの革新の歩みが加速している。そして新しいタイプのデータ管理やデータ処理技術を専門とするスタートアップたちが大きな資金を調達して、次世代のコンピューティングを推進しようとしている。

最近、新たな投資家WestSummitやAccel Growth Fundから6000万ドルを調達した新進のデータベース企業Couchbaseも、その巨額な資金により、国際展開と継続的な研究開発を、さらに加速するつもりだ。

カリフォルニア州Mountain Viewの同社は、MongoDBなどとともに、企業や組織の業務データ(operational data, オペレーショナルデータ)の管理を扱う、資金状態の良好なスタートアップの一つだ。

これまで累積で10億ドルあまりを調達しているClouderaなど、Hadoopベースのベンダと違ってCouchbaseとMongoDBは、データベースのデータ処理よりもむしろ、データの管理とリカバリに力点を置く。同社のCEO Bob Wiederholdは、そう語っている。

Wiederholdは曰く、“ユーザのところでは大量のアプリケーションが同時に動いていて、大量のデータベース操作をたえず行っている。今日のデータベースは、そのような苛酷な状況を堅牢にサポートしなければならない”。古いデータベース技術ではデータが中央一点型で存在し、Couchbaseのような分散データベースと違って、需要増に応じて機敏なスケールアップができない、と彼は語る。

WestSummitとAccel Growthから得た新たな資金は、ビッグデータ市場のなお一層の開拓に充てられる。その市場のグローバルな現在の規模は、アナリストグループIDCによれば、160億ドルあまりと推計されている。

さらに同社は、5月のローンチしたモバイル技術の展開にも力を入れていく。

Couchbaseが今市場に売り込もうとしているモバイルデータベースは、モバイルデバイス上のアプリケーションが、インターネットに接続していないときでも稼働できる状態を作り出す。

Wiederholdはさらに言う: “今モバイルアプリを使おうとすると、インターネット接続がなかったり、接続状態が悪かったりしてフラストレーションにおちいることがある。ある程度キャッシュが使われてはいるが、アプリ本体の機能は利用できない。しかし、必要なデータをモバイルデバイス上に保存できたら、非常に速いレスポンスタイムを享受できるし、インターネット接続が得られる状態になったらデータをクラウドにシンクできる”。

Couchbaseのモバイルプロダクトはまさに、そのような機能性を提供する。“モバイルへの移行は巨大なトレンドであり、そのためにまず最初に作られるのがモバイルのアプリケーションだ。しかし、今よりももっとグレートなモバイルアプリケーションを作れて、利用できるためには、モバイル対応のデータベースこそが、その鍵となる技術なのだ”、とWiederholdは自負を語る。

モバイルと並んでCouchbaseのCEOの目に映じている大きな機会が、国際展開の拡大だ。中国と合衆国を股にかけたファンドWestSummitを加えたのも、そのねらいからだ。WestSummitの協同ファウンダでマネージングパートナーのRaymond Yangが、Couchbaseの取締役会に加わる。

Couchbaseには、二つの別々のデータベース企業CouchOneとMembaseというルーツがあり、両社が2011年に合併してCouchbaseになった。

同社はこれまでに、Accel Partners、Mayfield Fund、North Bridge Venture Partners、Ignition Partners、Adams Street Partnersなどから合計1億ドルあまりを調達している。

写真はFlickrユーザElif Ayiterより

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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