ビットコインはビットコインのままに、値上げ幅は1週間で30%、1年で200%と急騰中

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ビットコインが話題に上がるのは、価格が暴落しているか急騰しているときだけのように感じないだろうか。ちょうど現在価格が急騰していることなので、ビットコインの話をしよう!

この記事が書かれている時点(米国時間6月16日)で、ビットコインには一枚あたり745ドル前後の値がついている。ビットコインの価格が現在のレベルに達したことは、過去に2回しかない。初回は、2013年のクリスマスに起きたバブルのときに、これ以上の高値に届く途中で。そしてその次は、そこから値が落ちる途中でだった。

 

一年前に230ドル前後の安値で取引されていたビットコインは、数週間前までじわじわと値を上げ、その後急騰した。 Screen Shot 2016-06-16 at 1.21.31 PM

もちろん誰もがなぜ価格が上がったのかを知りたがっている。しかし、他の公開市場のように、実際に何が価格上昇の原因となっているのかを知るすべはない。それでも、原因を推察することはできる。以下に、ビットコイン急騰の背景にあると考えられる事象のいくつかを挙げてみた。

半減期

半減期という言葉を聞いたことがあるだろうか?もしもビットコインのニュースを追っているのに聞いたことがないなら、今後すぐにでもビットコイン関連のニュースが、半減期という言葉で溢れることになるので覚えておいたほうがいい。半減期のことを聞いたことがない人のために、私がここで説明しよう。まず、ビットコインはデフレ通貨としてデザインされ、この世に2100万枚しか存在しないため、時間が経つにつれて、採掘されるビットコインの数も少なくなる。

これは、ビットコインのコアとなるコードによって、21万ブロック採掘されるごとに、採掘報酬が半減するよう決められているからだ。1ブロックあたり50BTCではじまった採掘報酬は、2012年終わりに1ブロックあたり25BTCへと減少し、あと3週間ほどでさらに12.5BTCへと半減することが予想されている。

原則上、採掘者たちの利益が近いうちに半分になるため、今回の価格上昇は、その埋め合わせとしてのビットコイン経済の自然な(そしてそのように設計された)半減期に対する反応と考えられる。

ビットコイン・コアのアップデート

ビットコイン・コアとは、ビットコインの原動力となるコードのことで、信頼できる開発チームによって整備されており、ビットコインの方向性を決定づけるものでもある。

先週の記事で触れた通り、開発チームは、現在いくつかのメジャーアップデートの準備に取り組んでいる。もっと早く、そして多くの決済を処理できるようにするための、ネットワークのスピードと許容量の向上がアップデートの主な内容となっている。詳しいところはかなり技術的な話なので省くが、そろそろリリースされる予定の新たなビットコイン・コアのテクノロジーに対する期待感が、価格上昇の原因の可能性がある。

広がる経済の不透明感

最後のオプションが、ビットコイン市場に不透明感を漂わせている、世界経済で起きている出来事だ。Brexit(イギリスのEU離脱)の可能性や、アメリカの大統領選、アジア経済低迷の可能性などが、機関・個人投資家の警戒心をあおっている。

人々は、経済が不安定なとき、現在過去半年で最高値をつけている金など、安全資産の購入に走る傾向にある。一般的に、ビットコインは安定的で安全な投資先とは考えられていないが、特に中国の投資家が、政府の厳しい規制網の届かないような資産の保管場所を探していることもあり、その様相は代わりつつあるのかもしれない。

あくまで冷静に

最後に、この記事との別れのアドバイスとして、どんな形であれ、現実の資産価値が急騰する様子を見るのは、ワクワクするし魅力的であるが、冷静さを保つことを忘れないでほしい。

これまでビットコインに関わったことのある人のほとんどが、一年前、いや一週間前にでも、なぜビットコインを買い集めておかなかったのだろうと、自分自信を蹴りつけたい衝動に現在かられていることだろう。もしくは、今後も価格が上がり続けると考え、今からビットコインを買い集めようという誘惑を感じている人もいるだろうが、恐らくそうしない方が良いだろう。これまでに学んだ通り、ビットコインは既存の金融商品とは全く別物であり、その価格は気ままに変動する。どんな公開市場であっても、買い時を見定めようとすると逆に大きな損失を生み出す可能性が高い。

ビットコインは値上がりすれば、値下がりもする。そして私たちの人生は、ただ前に進むだけだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

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