ファーウェイが米商務省による「安全保障上の脅威」指定をめぐり提訴

今週初め、Huawei(ファーウェイ)のRen Zhengfei(任正非)CEOは、同社が望む米国の新政権との会談について、やや外交的な発言をした。このハードウェアの巨人はまた、FCC(米連邦通信委員会)が同社を国家安全保障上の脅威として指定したことに異議を唱え、あまり互譲的ではない路線をとっている。

Huaweiは今週、米国第5巡回区控訴裁判所に提訴し、FCCの裁定を「恣意的、気まぐれ、裁量の乱用であり、実質的な証拠に支えられたものではない」と主張した。

このスマートフォンメーカーと中国政府との関係には長年疑惑が渦巻いていたが、米国はDonald Trump(ドナルド・トランプ)政権時代にHuaweiに対する行動を大幅に硬化させていた。米国政府は、実質的に同社を狙い撃ちするための多くの路線を敷いてきた。中でも特筆すべきは、米商務省が同社を「Entity List(エンティティリスト)」に記載し、米国企業との取引を事実上禁止したことだ。

関連記事:ファーウェイCEOはバイデン新大統領との会談を歓迎

Huaweiは米国の政権移行を、権力者による再評価を受ける機会と捉えているようだ。同社は長い間、スパイ行為やその他の安全保障上の容疑を否定してきた。「私が歓迎するのは、共同開発や成功の共有を回復させる電話やメッセージです」と、今週初めに任氏はJoe Biden(ジョー・バイデン)大統領との会談を熱望していることをメディアに語った。「米国は経済成長を望んでおり、中国も同様に経済成長を望んでいます」。

しかし、FCCの広報担当者は、The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)における声明の中で、2020年の決定に固執し「FCCは2020年、当委員会と多数の米国の国家安全保障機関によって示された実質的な証拠に基づき、Huaweiを国家安全保障上の脅威として特定する最終的な指定を発行しました。我々はその決定を引き続き守っていくつもりです」と述べている。

関連記事:バイデン政権のジーナ・ライモンド商務長官にはファーウェイをエンティティリストから外す理由がない

これまでのところ、バイデン政権はHuaweiに対する規制を緩和する計画を示していない。共和党議員の反対に対し、商務長官に指名されたGina Raimondo(ジーナ・ライモンド)氏は、「これらのリストに記載されている企業を、記載されるべきではないと考える理由は現在のところありません」と強調し、「もし承認されたら、これらの企業や懸念される他の企業についての説明が設けられる機会を楽しみにしています」と述べた。

バイデン政権は、トランプ政権時代に行われた中国企業に対する他の措置を見直しているようだ。なお、ホワイトハウスが安全保障上の懸念を再評価している間、計画されていたTikTok(ティックトック)の米国事業の強制売却は保留されている。

関連記事:TikTok米国事業のオラクルへの強制売却が棚上げ

カテゴリー:ハードウェア
タグ:HuaweiJoe BidenアメリカエンティティリストFCC裁判

画像クレジット:VCG / Getty Images

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。