フィンテック企業たちに、銀行への簡単なAPIを提供するTrueLayerが、シリーズAで300万ドルを調達

ロンドンのスタートアップTrueLayerがシリーズAで300万ドルを調達した。同社は、フィンテック企業たちに対して、銀行APIに簡単にアクセスし、PSD2で儲けるチャンスを掴むためのプラットフォームを提供する。今回のラウンドは、既存の投資家であるConnect Venturesの参加を受け、Anthemis Groupの主導で行われた。調達された資金は、TrueLayerによって、チームの拡充と、今年の後半に予定されているベータテスター以外への公開に向けて、カバーする銀行の数を増やすために用いられる。

欧州連合(EU)によるSecond Payment Services Directive(PSD2:決済サービス司令2)は、2018年1月までに各国の法律に組み込まれなければならないが、EUの中で営業する銀行たちに読み出しならびに書き込みアクセスの提供を強制するものになる。口座名義人の同意によりサードパーティアプリやサービスが銀行口座のデータにアクセスできるようになるのだ。この中には口座の持ち主に代わって、支払いを行なったり受け取ったりすることができる機能も含まれる。

当然のことながら、膨大な数のフィンテックスタートアップたちが、既ににPSD2の巻き起こす嵐の中に飛び込んで、様々なプロダクトを先行して開発している。そうしたものの例としては、パーソナルファイナンスマネージャー(PFM)アプリ、クレジットローン、カード関連のオファー、そしてキャッシュバックなどがあり、PSD2が最終的に法的に有効になった場合に備えている。一方、TrueLayerは、多くの人々がPSD2ゴールドラッシュと予想する事態に対して、(自分たちで金は掘らず、金を探す人たちのために道具を提供する)「ツルハシとシャベル」アプローチで臨もうとしている。

「私たちは、PSD2は新興企業たちにとって、既存の銀行や金融サービスプロバイダに取って代わることができる、生涯に一度のチャンスだと考えています」とTrueLayerの共同創業者であるFrancesco Simoneschiは語る。「私たちは、銀行インフラストラクチャにアクセスし、金融サービスの次のウェーブを実現するための、シンプルで安全でユニバーサルなAPIを、開発者たちに提供したいと考えています」。

2月にプライベートベータとして始まったTrueLayer開発者プラットフォームは、現在アカウントの認証、KYC(Know Your Customer、銀行口座開設時の顧客審査)プロセスをサポートし、加えて、口座の名寄せ、クレジットスコアリング、そしてリスクアセスメントのための、トランザクションデータへのアクセスサポートを提供している。現在英国で利用可能であり、2018年後半にはTrueLayerを他のEU諸国に展開すると、Simoneschiは述べている。

そしてもちろん、ロードマップ上にはPSD2の完全サポートが載せられている。「APIは、データを超えた追加の銀行サービスを提供することからスタートします。たとえば支払い開始(送金を行なうAPI)や、PSD2とオープンバンキングによって可能になるあらゆるチャンスなどです」と彼は言う。

最後には、TrueLayerが英国規制当局からPSD2関連の適切なライセンスを取得できたなら、SimoneschiはTrueLayerがそのライセンスを「傘のように」用いることで、フィンテックスタートアップたちやPSD2の金を探し求めるビジネスたちのために、技術だけでなく規制に対するゲートウェイの役割を果たせるようになりたいと期待している。

「私たちはPSD2と明快な規制の枠組みのもたらす恩恵について、とても前向きに考えています」とSimoneschiは付け加えた。「消費者向け金融と銀行業務に関しては、ヨーロッパ(そしてイギリス)がイノベーションに対して非常にオープンであることは素晴らしいことです。PSD2が解決しなければならない課題はまだまだありますが、これは金融サービス市場にとって真の意味での変革につながるのです」。

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(翻訳:Sako)

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TechCrunch Japan

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