フェイスブック、高リスクなアカウントの2要素認証を義務づけ

最近Meta(メタ)の子会社となったFacebook(フェイスブック)が、悪意のあるハッカーの標的となる可能性がある高リスクのアカウントを2要素認証(2FA)必須にする予定だと発表した

この動きは、ソーシャルネットワーキングの巨人が、人権擁護家、ジャーナリスト、政府関係者など、特定のリスクにさらされる可能性のある人びとのアカウントを保護することを目的として行う、強化されたセキュリティプログラムFacebook Protect(フェイスブックプロテクト)の大幅な拡張の一部だ。この動きは、2FAを含むセキュリティ機能を使いやすくし、アカウントとページに潜在的なハッキングの脅威への監視を含む追加のセキュリティ保護を提供することによって、対象となるアカウントがより強力なセキュリティ保護を採用できるようにする。

このプログラムは2018年に試験運用され、2020年の米国大統領選挙に先立って拡大されて、不正行為や選挙の干渉がプラットフォームに広がるのを阻止しようとした。Facebookによると、現在150万を超えるアカウントで有効になっており、年末までに米国、インド、ポルトガルを含む50カ国以上に拡大する。同社は2022年にさらなる拡張を計画している。

Facebook Protectにすでに登録されている150万のアカウントのうち、約95万が2FAを有効にしているが、これはFacebookによれば「インターネット全体でも歴史的に十分に活用されてこなかった」機能だ。Facebookは、この機能がすべての高リスクアカウントで使用されることを望んでおり、さらに強制的にしようとしているという。

これは、Facebookによって高リスクアカウントとして識別されたユーザーが、設定された期間が経過するまでに2FAを有効にしない場合、そのユーザーは自分のアカウントにアクセスできなくなることを意味する。同社によれば、ユーザーはアカウントへのアクセスを永久に失うことはないものの、アクセスを回復するには2FAを有効にする必要があるという。

Facebookのセキュリティポリシー責任者であるNathaniel Gleicher(ナサニエル・グレイシャー)氏は「2FAは、あらゆるユーザーのオンライン防御のコアコンポーネントですので、これを可能な限り簡単にしたいと考えています」という。「2FAへの登録を拡大するには、認知度を高めたり、登録を奨励したりするだけでは不十分です。ここは、みなさんにとって、公開討論のとても重要な場所を占め、非常に狙われやすいコミュニティです。したがって、みなさんの自身の保護のために、できれば2FAを有効にしていただく必要があるのです」。

グレイシャー氏は、初期のテストで、Facebook Protectを義務づけることで、高リスクのユーザーの90%以上が2FAに登録したと付け加えた。

ツールが提供する保護と、アカウントから重要な声がロックアウトされるなどの潜在的な可能性とのバランスをとるために、2FA義務化はまず、フィリピンやトルコなどの「Facebookが円滑に拡大を行えるリソースを持つ」場所から開始される。同社はまた、次の選挙が重要な市民活動と重なる可能性のある地域にも焦点を当てる予定だ。

なお現段階ではすべてのアカウントに2FAを義務づける「計画はない」という。

関連記事:Metaがメッセージのエンド・ツー・エンド暗号化導入延期にともなう安全性に対する取り組みを説明

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文: Carly Page、翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。