フェイスブックがユーザーの政治的信条、宗教、性的指向を広告ターゲットにすることを禁止予定

Facebook(フェイスブック)は米国時間11月9日、個人の健康、性的指向、宗教的・政治的信条などの、潜在的に「センシティブ」な属性に基づいてユーザーをターゲティングすることを、この先広告主に許可しないことを発表した。たとえば「Lung cancer awareness(肺がんの知識)」「LGBT culture”(LGBTカルチャー)」「Jewish holidays”(ユダヤ教の休日)」などが、2022年初頭からターゲット外となるカテゴリーの例だ。

同社はブログに「こうした詳細なターゲット設定オプションを削除する決定は容易ではなく、この変更が一部の企業や組織に負の影響を及ぼす可能性があることは承知しています」と記し、その上で公民権の専門家、政策立案者、その他の関係者からの意見が今回の決定を後押ししたと述べている。広告収入はFacebookの主要な収入源であるため、広告ポリシーの大幅な変更は大きな副次的影響を及ぼす可能性がある。

Facebookは年齢、居住地、性別(ジェンダー)など、プロフィールに記載されている情報に基づいて、ユーザーをターゲットにすることができる。しかしFacebookプラットフォームが、ユーザーのプロフィールに記載されている性的指向に基づいてターゲットを絞ることはこれまでもしていなかったと、同社の担当者はTechCrunchに語った。この先、削除される広告とは、ユーザーのプロフィール内の関心カテゴリーに基づいて提供されている広告を指すという。

これまでFacebookは、ユーザーのアクティビティに基づいて、そうした関心カテゴリをユーザーのプロフィールに割り当てていた。Facebookのコンテンツにどのように関わったかに応じて、ユーザーには「米国のユダヤ文化」「LGBTの権利」「バラク・オバマ」など、Facebookが「センシティブ」と呼ぶカテゴリーが割り当てられる可能性がある。2022年1月19日から、広告主はこれらのような関心事に基づいて広告をターゲティングすることができなくなる。なお「ロッククライミング」や「編み物」など、センシティブではない他の関心グループは引き続きターゲットとして使われる予定だ。センシティブかどうかに関わらず、そうしたカテゴリーは何万もあるのだ

いまでもユーザーは、デスクトップの「設定とプライバシー→設定→広告→広告設定→広告のターゲット設定に使用されるカテゴリ→興味・関心のカテゴリ」で、自分のプロフィールにひも付けられた関心グループを確認することができる。また特定の関心事に基く広告を見たくない場合は、そこでオプトアウトすることができる。

この広告ポリシーの変更は、Facebookプラットフォームの親会社として新たに社名を変更したMeta(メタ)が、内部告発者のFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏がリークした文書に関連した一連の上院公聴会の後、厳しい監視の目に晒されていることに起因している。より多くの文書が報道機関にリークされるにつれて、Metaは一部のジャーナリストの報道が同社の振舞を誤って伝えていると主張し、防御の姿勢を強めている。

とはいえ、Facebookの広告ポリシーは何年も前から問題視されていた。2020年の米国大統領選挙に向けて、Facebookは、作成できる政治広告の種類に制限を設けた。また2018年には、米住宅・都市開発省(HUD)が、家主や住宅販売業者たちが公正住宅法(Fair Housing Act)に違反する行為をFacebookが幇助していた件告発したことを受けて、Facebookは広告の5000以上のターゲティングオプションに対して同様の削除を実施した。その前の2016年には、Facebookは住宅、雇用、クレジット関連の広告に関する「民族的親和性」ターゲティングを無効にしている。これはProPublica(プロパブリカ)のレポートで、そうした機能が差別的な広告に使われる可能性があると指摘されたことを受けたからだ。住宅や雇用に関しては、特定の社会属性に基づいて広告を出すことは違法なのだ。また、ProPublicaの別の報告書によって、Facebookは反ユダヤ的な関心事のカテゴリーに基づく広告ターゲティングも削除している。

また同社は「私たちは、プラットフォーム上でどのように人びとにリーチできるかについての広告主の期待によりよく沿うと同時に、私たちが利用可能にしているターゲティングオプションを広告主が乱用することを防ぐことの重要性に関する公民権専門家、政策立案者、その他の利害関係者からのフィードバックにも対処したいと考えています」とブログ投稿を行っている。「こうした、詳細なターゲティングオプションを取り除く決定は容易ではなく、この変更が一部の企業や組織に負の影響を及ぼす可能性があることは承知しています」。

Facebookは、データが悪意ある者に悪用される可能性を懸念してこれらの決定を下したとしているものの、このデータが潜在的にポジティブな方向に使用される場合もあるため、一部の関係者を心配させている。たとえばこれまでは「糖尿病の知識」に興味がある人には、コンディションの管理に取り組んでいる非営利団体を紹介することができていたのだ。

それでも、Facebookには、特定のオーディエンスにアクセスするためのツールがまだ数多く残されている。例えばユーザーがiPhone上で広告トラッキングを許可した場合、Facebookの広告主はその情報を広告のターゲティングに利用することができる。また企業は「エンゲージメントカスタムオーディエンス」「類似オーディエンス」などを活用して、ユーザーにリーチすることができるが、その概要については同社のブログ記事で紹介されている。

画像クレジット:Lionel Bonaventure / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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