フェイスブックは自らの規定に反してブラジル大統領の新型コロナに関する誤報を削除

Facebook(フェイスブック)は、ブラジルのJair Bolsonaro(ジャイール・ボルソナーロ)大統領による新型コロナウイルスに関する有害と思われる誤報の拡散を防ぐために、政治家の発言の虚偽をチェックしないという自らの方針に反した。Facebookが行なった断固たる選択は、米国時間3月29日にボルソナーロ氏がシェアしたビデオを削除することであり、そのビデオの中で彼は「ヒドロキシクロロキン(hydroxychloroquine)がどこでも効くんだよ」と主張している。その薬は新型コロナウイルスへの治療効果を試験されているが、研究者や保健医療機関はその効果を確認していない。

フェイスブックのスポークスパーソンはTechCrunchに対して次のように語っている。「フェイスブックとInstagramにおける弊社のコミュニティ規定に違反しているコンテンツは削除している。身体に害を及ぼす可能性のある誤報もそのひとつだ」。治癒や治療法、必要不可欠なサービスの利用可能性そして感染症の発生場所やその程度に関する虚偽の主張を特に禁じている。

BBC News Brazilが、ポルトガル語で最初に報じている。その削除されたビデオの中でボルソナーロ氏は路上商と話をしており、WHOが社会的距離を推奨しているにもかかわらず「彼らは仕事をしたいんだよ」と話していた。そして「あの薬、ヒドロキシクロロキンならどこでも効くんだよ」と口にしている。

誰にでも効く新型コロナウイルスの薬があると間違って信じると、外出や仕事、隔離状態の拒否も平気でできるようになり、ウイルスの拡散を強めるばかりかその抑止努力を無意味にし、医療システムを崩壊させる恐れもある。

そこでTwitterは謝った情報が広がるのを止めるために、日曜日にボルソナーロ氏のツイートを2つ、そして元ニューヨーク市長であるRudy Giuliani(ルドルフ・ジュリアーニ)氏のツイートを1つ削除した。しかし3月30日までFacebookは、政治家の主張の真実性をめぐる裁定役を基本的に避けてきた。それは悪名高く、Donald Trump(ドナルド・トランプ)をはじめとした政治広告の中にある露骨な誤報も、ファクトチェッカーに送ることを拒否してきた。

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しかし先週、Facebookは「差し迫った身体的危害を助長する可能性のある」新型コロナウイルスに関する誤報は、2018年以来のその他の案件に対して行ったように、直接かつ直ちに削除すると発表した。それに対してさほど緊急性がなく、身体的危害に直結しない陰謀説などはFacebookでのリーチを下げることができるファクトチェッカーへ送られる。

問題は、感染の深刻さや治療法の可能性、人びとを仕事に復帰させることに関する危険性などについて誤報をばらまいて批判されてきたトランプにも、このような削除やファクトチェックは適用されるのかということだ。Facebookは、自分たちの投稿を差別したり、検閲したりしているという虚偽の話による保守的な政治家や一般市民から反発を恐れていることで知られている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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