フォルクスワーゲンの電動レーシングカーがグッドウッドでも記録更新

英国で毎年行われる自動車レースイベント、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードのヒルクライム記録が20年ぶりに破られた。しかも同じ週末の間に2度も。

新たなレコードホルダーは、フォルクスワーゲンの電動レーシングカー「ID R」だ。ドライバーのロマン・デュマ(Romain Dumas)氏が運転した同車は、英国南部グッドウッドの1.86kmトラックを41.18秒で周回し記録を打ち立てた。デュマ氏は翌日同じトラックを39.90秒で走り自身の記録を更新した。

著名なヒルクライムのかつての記録は、1999年にニック・ハイドフェルド(Nick Heidfeld)氏が780馬力の燃焼エンジン車、マクラーレン・メルセデス「MP4/13」で達成した。ハイドフェルド氏は41.6秒でこのトラックを走った。

フォルクスワーゲンのID R(およびデュマ氏)は、ニュルブルクリンク ノルドシュライフェおよびパイクスピークで最近新記録を達成したばかりで波に乗っている。ID Rは、ニュルブルクリンク ノルドシュライフェのコースを6分05秒336で走り電気自動車の新記録を樹立した。従来の記録は2017年にピーター・ダンブレックが電気自動車の「Nio」に乗って達成した。

このフォルクスワーゲン ID Rは、グッドウッドのヒルクライムに特化して改造されていた。バッテリーを小いさくして重量を減らし、モーターの出力は短距離スプリントに最適化された。ドラッグリダクションシステム(空気抵抗抑制システム)はニュルブルクリンクの高速セクション向けに設計された。

この何が重要なのか? このレーシングカーはフォルクスワーゲンの電動自動車プラットフォーム「ID」のテストベッドで看板でもある。

フォルクスワーゲンは、同社の電動コンセプトカーとしてこのIDシリーズを数年前から前面に押し出している。シリーズ中の1台、ID.3 を生産する準備も進めている。同社はID.3を年間10万台販売する目標をもっている。

ID.3ハッチバックは、フォルクスワーゲンの新しい電動自動車アーキテクチャーであるModule Electric Drive Toolkit(MEB)を使って作られた最初のモデルだ。2016年に導入されたMEBは、柔軟なモジュラーシステム(共通部品の集合とも言える)で、電動自動車を効率よく高い費用対効果で生産するために作られたと同社は言っている。

他の車種もすぐに続くだろう。フォルクスワーゲンは20種類以上の完全電動車の製品化を計画している。2025年までに年間100万台の電気自動車を販売することが目標だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。