フォードがグーグルと提携、同社とリンカーンの全車両にAndroid Automotive OS搭載

2023年から、何百万台というFord(フォード)とLincoln(リンカーン)ブランドの車両にAndroid(アンドロイド)オペレーティングシステムが搭載されるようになる。米国時間2月1日に6年間におよぶFordとGoogle(グーグル)の提携が発表され、その一環としてGoogleのアプリとサービスがドライバーに提供される。

今回の提携ではまた、新たな消費者エクスペリエンスやAndroid Automotiveオペレーティングシステムで動くサービスの開発を担当するTeam Upshiftという協業グループを設置する。顧客の車両購入方法を変えるサービスの開発などといった取り組みが考えられる。また、データを使った新ビジネスモデルの構築にも共同で取り組む。Google CloudのCEOであるThomas Kurian(トーマス・クリアン)氏は、消費者にリアルタイムに通知を送ったりメンテナンスの要望に対処したりするのにデータを使うかもしれない、と説明した。

加えて、両社はFordが優先クラウドプロバイダーとしてGoogle Cloudを選んだことも発表した。

何年もの間GoogleやApple(アップル)のようなサードパーティ企業を避け、オープンソースのプラットフォームを推進していたFordにとって、今回の提携は方針転換となる。2017年にFordとToyota(トヨタ自動車)はFordのAppLinkのオープンソースソフトウェアに関連するSmartDeviceLink(SDL) Consortiumというコンソーシアムを結成した。当時の目的は、消費者がスマホアプリにどのように接続してコントロールするかという点でより多くの選択肢を提供するためにオープンソースのソフトウェアの開発を加速させることだった。

FordはSDL Consortiumはまだ活動しており、20以上のメンバーが参加しているとTechCrunchに語った。「SDLによって、モバイルアプリはFordが車内エクスペリエンスにイノベーションを持ち込む主要な方法となりました」とFordの広報担当は述べている。

Android Automotive OSをAndroid Autoと混同しないでほしい。Android AutoはOS上の二次インターフェースで、ユーザーのスマホに頼っている。Android Automotive OSはLinuxで駆動するオープンソースのモバイルオペレーティングシステムを手本にしている。しかしスマホやタブレットを動かす代わりにクルマで使えるように、Googleは部分的に手を加えた。

戦略・提携担当の副社長であるDavid McClelland(デイビッド・マクレランド)氏は、Googleとの提携がデータ分析チームの設置とソフトウェア専門知識の開発のための最近の取り組みと投資を「加速させる」と話した。

「GoogleとFordの提携が、イノベーションの原動力になると信じている」とマクレランド氏は述べた。「Fordの事業の現代化を加速させ、何より重要なことに顧客の期待を上回ることができます」。

Androidオペレーティングシステムの自社バージョンを車両に搭載しようと計画しているのはFordだけではないが、同社が提供するサービスと製品はユニークなものになるとマクレランド氏は強調した。

たとえば2017年にVolvo(ボルボ)はAndroid OSを活用すると発表し、その1年後に音声操作のGoogleアシスタント、Google Play Store、Googleマップ、その他のGoogleサービスを次世代Sensus情報システムに盛り込むと明らかにした。Volvo傘下の電気自動車ブランドPolestar(ポールスター)も最新車両Polestar 2のインフォテイメントシステムを動かすのにAndroid Automotive OSを使っている。Googleは2019年、音楽や他のエンターテインメントアプリを車両のインフォテイメントシステムに持ってくるためにサードパーティのデベロッパーにAndroid Automotiveオペレーティングシステムを公開すると発表し、Polestar 2が第1弾となった。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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