フォードがコンパクトな新型ハイブリッドピックアップ「マーベリック」発表、市街地燃費17km/Lで約220万円から

Ford(フォード)は米国時間6月8日、潜在需要を喚起するコンパクトな新型ハイブリッドピックアップトラック「Maverick(マーベリック)」を発表した。

新型マーベリックは、これまでのフォードのピックアップトラックよりも小さくて扱いやすいサイズで、価格は1万9995ドル(約219万円)から。SUVやトラックのあるライフスタイルを欲しながらも、狭い市街地における取り回しや駐車のしやすさを求めるエントリーレベルの顧客に向けたモデルとなっている。

間もなく発売される「F-150 Lightning(ライトニング)」のように完全な電気自動車トラックではないものの、マーベリックはフォードの電動化推進計画の一環だ。同社は先日、電動化のための投資額を、これまで予定していた「2023年までに220億ドル(約2兆4080億円)」から、「2025年までに300億ドル(約3兆2840億円)」に引き上げると発表していた。

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また、マーベリックには、フォードのバンダイク・エレクトリック・パワートレイン・センター(かつてのバンダイク・トランスミッション工場)で設計・開発・テスト・製造された電気モーターを初めて搭載するという特徴もある。

コンパクトなピックアップは、市街地での駐車も簡単(画像クレジット:Ford Motor Company)

電気モーターを組み合わせた2.5リッター直列4気筒アトキンソンサイクル・エンジンは、最高出力191馬力と155ポンド・フィート(約210Nm)を発生し、CVT(無段変速機)を介して前輪を駆動する。最大2000ポンド(約907キログラム)までの牽引が可能だが、これは現在市販されている大型の5輪キャンピングカーを運ぼうと考えている人にとって魅力的ではないかもしれない。しかし、市街地における燃費の目標値がEPA(米国環境保護庁)基準で40mpg(17km/L)ということであるから、フォードは他にこのクルマの購入者を見つけることができるだろう。また、マーベリックには2.0リッター直列4気筒ガソリンターボ「EcoBoost(エコブースト)」エンジンと8速トランスミッションの設定もあり、こちらは最高出力250馬力、最大トルク277ポンド・フィート(約376Nm)を発揮。前輪駆動の他に4輪駆動も選べ、オプションの「4K Tow Package(4Kトー・パッケージ)」を購入すれば、牽引能力は最大4000ポンド(約1814キログラム)に増大する。

トリムレベルはFシリーズと同様に「XL」「XLT」「Lariat(ラリアット)」の3種類が用意されている。

「メイカースペース」にもなる荷台

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「F-150」の荷台が5.5 × 4.3フィート(1676 × 1310ミリメートル)であるのに対し、マーベリックの荷台は4.5 × 4フィート(1372 × 1219ミリメートル)という上品なサイズで、さまざまな用途にフレキシブルに対応できるように設計されている。このメッセージを確実に伝えたいと考えたフォードは「flexbed(フレックスベッド)」というブランド名を付けた。

フォードの代表的なピックアップトラックであるF-150シリーズは、仕事で使う電動ツールのための十分な電力を供給できるソケットと収納力を備えたユーティリティー性を重視している。これに対しマーベリックは、DIYを楽しむ人向けに作られた。フォードは12個のアンカーポイントとスロットを用意し、オーナーが好きなように区切って使えるようにした。このフレックスベッドには、DIY用工具に最適な12ボルト20アンペアの電源ソケット2つと、フォードが「ノートパソコンやテールゲートパーティーのために」電力を供給すると書いている110ボルトのコンセント2つが装備されている。

テールゲートといえば、マーベリックのテールゲートは多段式になっており、ドライバーは荷物に合わせて最適な位置までテールゲートを開けて固定することができるため、ベッドエクステンダーとしての機能も備えている。

ベッドサイドの外から荷台に手を伸ばすことができるのも、小型ピックアップならではの特長だ。特にデザイナーは、女性の5分の1が手を伸ばせば届くようにすることを重視したという。

テクノロジー

マーベリックは、最近の新型車に期待されるとおりの完全なコネクテッド・ビークルだ。このフォードの最新ピックアップには、最大10台のデバイスにインターネット接続を提供するモデムが内蔵されており、Apple CarPlay(アップル・カープレイ)とAndroid Auto(アンドロイド・オート)にも標準で対応する。オーナーはスマートフォンから「FordPass(フォードパス)」アプリを使って、エンジンの始動 / 停止、ドアの施錠/ 解錠、燃料レベルの確認、そして広大な駐車場などではクルマの位置の確認などができる。

このコンパクトピックアップは「Ford Co-Pilot360(フォード・コパイロット360)」と呼ばれる先進運転支援機能も搭載しており、自動緊急ブレーキ付き衝突回避支援機能や、前方に他の車両がいない時に自動でハイビームに切り替えるヘッドランプが標準装備されている。さらにオプションで、車線変更時に斜め後方の死角を監視して危険を知らせるブラインドスポット・インフォメーション・システム、車線維持アシスト、アダプティブクルーズコントロールなども追加できる。また、走行状況に合わせてNormal(ノーマル)、Eco(省燃費)、Sport(スポーツ)、Slippery(滑りやすい路面)、Tow/Haul(牽引や重い荷物の積載時)と5種類のドライブモードに切り替えられる機能も標準装備となっている。

インテリア

マーベリックのインテリアは、スマートフォンの充電台を備えたセンターマットや、空調の吹出口など、人との関わりを示す部分にカラフルなアクセントが施されている。トリムにはフェイクレザーやフェイクウッドは使わず、石目調のテクスチャーや斑点模様のプラスティックを採用している。

後部座席に装備されたFord Integrated Tether Slots(フォード・インテグレーテッド・テザー・スロット)は、カップホルダーや子どもたちを楽しませるためのiPadホルダーなど、顧客が車内に追加したいさまざまなアクセサリーを組み合わせることができる。また、燃料タンクを後部座席の下ではなくキャビンの後方に配置したことで、シート下の収納スペースが大幅に拡大した。フォードによれば、このキャビンには、前述の「テールゲートパーティー」のための、氷の入ったバケツも収納できるという。

マーベリックでは、ドアのアームレストや後部座席用ドアのスピーカーを廃止することで、みんなが大好きなS’well(スウェル)のウォーターボトルを収納できるスペースが確保されている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Fordハイブリッドカー

画像クレジット:Ford Motor Company

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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