フォードがEVバッテリー管理ソフトウェアのElectriphiを買収、法人顧客向けEV事業を強化

Ford(フォード)は法人顧客向けの電気自動車(EV)2種、E-Transit貨物バンF-150 Lighting Proを準備中だ。そして現在、同社はバッテリー管理と車両モニタリングソフトウェアのスタートアップElectriphi(エレクトリフィ)の買収で未来のEV法人事業を完成させようとしている。

買収取引条件は公開されなかった。Fordは創業3年のサンフランシスコを拠点とするElectriphiが、2030年までに充電だけで10億ドル(約1100億円)超の売上高を達成すると期待している。新部門Ford Proは充電にとどまらず財政面での野心を抱えている。ハードウェアとその周辺のもの、そして新たなサービスで、2019年に270億ドル(約2兆9810億円)だった売上高が2025年までに450億ドル(約4兆9690億円)になると予想している、と述べた。

30人のチームのElectriphiは新設のFord Proに加わる。Ford ProはE-Transit貨物バンとF-150 Lighting Proピックアップトラックの法人顧客へのサービス提供に注力している。Fordは2021年後半に顧客へE-Transitの納車を開始する。全電動Lightingピックアップトラックの商用モデルであるF-150 Lighting Proは2022年春にマーケット投入される見込みだ。

「法人顧客が電気自動車を管理車両に加えるにつれ、顧客は車両が毎日充電され、仕事に使う準備ができているようにするために車両デポ充電ステーションのオプションを求めています」とFord ProのCEOであるTed Cannis(テッド・カニス)氏は述べた。「Electriphiの既存の高度なテクノロジーIPをFord Proの電動車両とサービスのポートフォリオに持ってくることで、我々は法人顧客向けのエクスペリエンスを向上させ、車両デポ充電のための単一ソリューションになります」。

Electriphiは、州や連邦政府の命令で重量車や中型商用車が電動化されることが明白になった2018年に創業されたと共同創業者でCEOのMuffi Ghadiali(マフィ・ガディアリ)氏は最近のTechCrunchとのインタビューで語った。Electriphiは米国内外でスクールバスや公共バスなどを含む商用電動車両を展開する部門にフォーカスしてきた。

「今後10年で何が起こるのかを考えてみてください。エネルギーとソフトウェア向けのモビリティでかなりのトランフォーメーションを目にします」とガディアリ氏は話した。「リスクは高く、事は一刻を争います」。同氏は2020年代末までにゼロエミッション車両に移行することを求める、今後出される命令に車両オペレーターが神経質になっている、と指摘した。「すべての車両を10年で交換するためには、ただちに動き始めなければなりません。『このトランジションの間にも車両オペレーションを止めないようにしなければ』というはずです」。

Fordは2021年初めにElectriphiに接触した。ElectriphiはFordとの取引の前に約1100万ドル(約12億円)のバリュエーションで420万ドル(約4億6400万円)を調達した。

FordのフォーカスはE-TransitとLightning Pro向けのソフトウェア構築である一方で、同社がElectriphiの顧客ベースに引き続きサービスを提供するのはあり得る。

「興味深いことに、基本的なFordのプラットフォームはさまざまなタイプの車両やスクールバスで使われていることがわかりました」とガディアリ氏は話した。「ですので、我々が行っていることに関連があるため、どの部門に我々が関与しないことになるのか明言は困難です。もちろん、我々はFordが2022年に始める大量出荷に照準を当てています」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Ford電気自動車買収

画像クレジット:Ford

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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