フォードとGE Healthcareが小さな企業が設計した人工呼吸器を7月までに5万台生産

Ford(フォード)とGE Healthcareが、Airon Corpの人工呼吸器の設計をライセンスを取得して、2020年7月までにミシガン州の工場で5万台生産する。それは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者に必要不可欠な医療機器を提供する同社の幅広い取り組みの一環だ。

フォードはまず、エンジニアのチームをAironのフロリダの工場に送って、人工呼吸器の増産を手伝う。現状ではその工場でAiron Model Aの人工呼吸器を1日に3台しか作っていない。フォードはまた、ミシガン州イプシランティの部品工場で4月20日より、Airon Model A-E人工呼吸器の量産を開始する。その工場では全米自動車労組の500名の従業員がボランティアで働き、その給与をフォードが払う。フォードは自動車の生産をパンデミックの間中断する。

米国時間3月30日のフォードの発表によると、同社はAironの人工呼吸器を4月中に1500台、5月には1万2000台、7月までには計5万台を生産する。月産能力は最終的に3万台にまで拡大する。

フォードとGE Healthcareはまた、GE Healthcareが設計した簡易人工呼吸器を量産にも取り組んでいる。

3月30日に行われた以上の発表は、自動車メーカーと医療機器メーカーの協力により新型コロナウイルス治療のための人工呼吸器不足を緩和しようとする最新の取り組みとなる。新型コロナウイルスは肺を侵して急性呼吸促迫症候群と肺炎をもたらす。まだ臨床的に実証された治療法がないので、患者の呼吸を助け病気と戦うためには人工呼吸器に頼るしかない。The New York Timesの記事によると、米国には約16万台の人工呼吸器があり、他には国家戦略備品(National Strategic Supply)として1万2700台がある。

GMは先週、インディアナ州ココモのエンジン工場で1000人のワーカーによりVentec Life Systemsの人工呼吸器の生産を開始すると発表した。生産開始は7〜14日後で、4月中にはFDA(米国食品医薬品局)が認可した人工呼吸器を出荷される計画だ。Ventecはまた、ワシントン州ボセルの工場で増産に努めている。

フォードとGE Healthcareの提携により、Airon Corpにも注目が集まっている。小さく非上場の同社は、ハイテク空気圧式ライフサポート製品を専門にしている。GE Healthcareがフォードに導入したAiron Model A-E人工呼吸器は、同社によると気圧で動作し電気を使わない。Aironはこの人工呼吸器を2004年から製造している。

Aironの設計が選ばれたのは、シンプルな設計のためフォードが迅速に生産規模を拡大できると想定されたためだ。FDAが認可し、医師も認めるその設計は、呼吸不全や呼吸困難になった多くの新型コロナウイルス患者のニーズに応えるとGE Healthcareの副社長兼最高品質責任のTom Westrick(トム・ウェストリック)氏はいう。

今回の提携では、フォードは製造資源を提供し、GE HealthcareはAironから人工呼吸器の設計をライセンス供与し、臨床における専門的な知識を提供する。

画像クレジット: Ford

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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