フォードのマイクロモビリティ子会社Spinが初の自社開発電動キックスクーター「S-100T」発表

Ford(フォード)のマイクロモビリティ子会社であるSpin(スピン)は、同社初のカスタムデザインによる電動キックスクーターを発表した。同社によると、この「S-100T」は最も安全で丈夫なスクーターであり、独占的なパートナーシップ戦略を目指す都市の注目を集めることが期待されている。

2021年7月にサクラメントでサービスを開始する際には、25台の新型S-100Tスクーターを既存の車両と一緒に配備する。8月までにS-100Tを350台に増やし、年末までには数千台以上を市場に投入したいと考えていると、同社の広報担当者は述べている。

新たに加わったS-100Tの他に、Spinが展開している車両にはオリジナルのS-100と3輪のS-200、そして電動アシスト自転車のS-300がある。これらの車両はSegway-Ninebot(セグウェイ – ナインボット)やOkai(欧凱)との提携によって製造されているが、Spinは多様な車両を維持するために、これらのパートナーシップを継続していく予定だ。

Spinは2019年から独自のスクーターの開発に取り組んできた。当時、路上で使われていたスクーターの多くは既製品で、すぐに壊れてしまものばかりだった。Los Angeles Times(ロサンゼルス・タイムズ)の記事によると、LA地区で使われていたBird(バード)のスクーターは126日しかもたなかったという。

「その時、当社の創業者たちは、Spin自体のためのみならず業界全体のために、電動スクーターの耐久性がどうあるべきかについての新たな基準を、実際に設定しようと決めました」と、Spinの製品担当バイスプレジデントを務めるMaxime Veron(マキシム・ヴェロン)氏はTechCrunchに語った。「そこで私たちは、最もタフなスクーターを作ることを目指し、それがS-100Tのデザイン、製造、テストの指標となりました」。

S-100Tの「T」は「tough(頑丈)」を意味すると、ヴェロン氏は付け加えた。

「私たちは非常に厳しいテストを行いました。それは業界の基準をはるかに超えたもので、拷問と言えるほどです。だからこそ、S-100Tは他の電動スクーターの2倍の寿命が期待できるのです」と、同氏は語っている。

S-100の寿命が約1年半であるのに対し、S-100Tには3年以上の寿命をSpinは見込んでいる。これは400項目にもおよぶ安全性・耐久性テストを実施した結果によるもので、多くのテストは車両がバラバラになるまで行われ、これによって-20℃の厳寒から65℃の高温まで耐えられる車体が出来上がったという。

スクーターの寿命の短さは、そのシェアリングサービスを展開する企業にとって収益を上げることが難しい主な理由の1つとなっている。それが、Spinが耐久性を重視したスクーターの設計を行っている理由だ。

「耐久性は収益性の面で最大の武器です」と、ヴェロン氏はいう。「スクーターが長持ちすることで当社のボトムライン(純利益)と、乗り心地を気に入った顧客を惹き付けるという意味でトップライン(売上)の両方に貢献します」。

S-100Tの設計はモジュール化されており、1つのフレームで構成されているため、耐久性が高く、修理や部品交換が容易で、車両の寿命と持続性に貢献できると、ヴェロン氏は語っている。

この設計とSpinが車両を所有することによって、長い製品寿命とその後のリサイクルまで含めた優れた企業戦略も可能になる。

「耐久性が第一ですが、当社ですべてをコントロールしているため、製品が寿命を終えた後まで含むすべての重要なチェックポイントを、時間をかけて改善していくことができるでしょう」と、ヴェロン氏は述べている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:FordSpin電動キックスクーター

画像クレジット:Spin

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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