フードデリバリーのFavorを設立した2人が不動産賃貸のSunroom Rentalsで11.6億円を調達

不動産テックのスタートアップSunroom Rentals(サンルーム・レンタルズ)は、不動産管理者やアパートのオーナーに代わって賃貸を行う会社だ。このほどシリーズAで1100万ドル(約11億6000万円)を調達した。Gigafundがラウンドをリードした。

Ben Doherty(ベン・ドハティ)氏とZachary Maurais(ザカリー・モーライス)氏は、フードデリバリーアプリであるFavorの共同ファウンダーで、2018年5月に中規模の不動産管理者とアパートオーナーに賃貸業務をアウトソーシングする手段を提供することで「収益性を高める」ことをミッションとしてSunroomを設立した。

2人は2018年にFavorをテキサスの食料品会社H-E-Bに売却すると、すぐに方向転換してSunroomの設立を目指した。テキサス州オースチン拠点の同社は、賃貸者が物件の内覧、申し込み、契約まで「すべてオンライン」で行えるようにするアプリを開発した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、多くの賃貸者が物件の調査、確保をバーチャルに行う方法を求めるようになった。

「私自身、消費者の最も基本的なニーズを満たす商品を作ることが大好きなのです」と社長のモーライス氏は言った。「食料品の経験を元に、住宅に焦点を当てることを決めました」。

フードデリバリーと住宅に、消費者ニーズを満たすこと以外に共通点があるのか気になるところだが、CEOのドハティ氏は、2021年の賃貸市場は2013年のフードデリバリー市場とよく似ている、という。

「2013年に、Grubhubは多くのレストランのメニューをオンライン化することに成功しましたが、注文や配達プロセスの大部分はオフラインのままでした」と同氏がTechCrunchに話した。「私たちは賃貸市場で同じような位置にいます。なぜなら、ほとんどの賃貸物件はオンラインで見ることができますが、物件の申込みや賃貸契約は未だにオフラインで行われているからです。

Sunroom Rentalsは、設立以来2000件の賃貸契約を完了し、10万以上の賃貸者が急成長するオースチン市で同サービスに登録した。会社が最初にビジネスの焦点を当てた場所だ。

「米国国勢調査局によると、その数字はオースチン都市圏の賃貸者の約10%に当たる」とモーライス氏は言った。「広く浅く全米を対象にする代わりに、市場に深く入り込んでネットワーク効果を得ようという決断を下しました。これはFavorのときにうまくいった戦略です。

Sunroom Rentalsは、市場平均よりも5日早く物件を貸し出しているという。これは不動産管理者にとって成長を早め「賃貸効率を高められる」恩恵があるとドハティ氏はいう。

今後同社は、調達した資金を使ってヒューストン、サンアントニオ、ダラスをはじめとするテキサス州全体への拡大を計画している。また、パートナーのポータルにも投資して、オーナーや管理者が賃貸状況をリアルタイムで監視できるようにする。

Sunroom Rentalsの社員は現在18名で、2021年中に2倍以上にすることを目標にしている。中でもエンジニアリング、プロダクト、営業の各部門に力を入れている。

先に述べたように、シリーズAラウンドはGigafundがリードし、NextGen Venture Partners、Calpoly Venturesの他、GoolgeおよびSquareのGokul Rajaram(ゴクール・ラージャーラム)氏、HomewardのTim Heyl(ティム・ヘイル)氏をはじめ多数のエンジェル投資家が参加した。既存の出資者には、Founders Fund Seed、Draper Associates、Boost VC、Capital Factoryらが名を連なる。このラウンドはSunroomにとって初めての「Priced Round(株価を決定した上で株式による調達)」であり、初めて株を手放したことを意味している。

NextGen Venture PartnersのマネージングパートナーであるJonathan Basset(ジョナサン・バセット)氏は、Sunroomはまさしく正しい位置に正しい時にいる「新型コロナ以前から非接触賃貸のトレンドに乗っていた」と評している。

「私は、彼らがFavorで競争の激しい市場で収益の上がる消費者マーケットプレイスを作り上げたのを見て、彼らの鋭敏さに感心していました」とバセット氏はいう。「この種のビジネスには驚くほど多くの類似性があり、彼らが困難を乗り越えることを確信しています」・

先週、TechCrunchはこの益々競争の激しくなる分野で新たなスタートアップが育っていることを報じた。シアトル拠点のKnock は、不動産管理会社に競争力を与えるツールを開発し、最近Fifth Wall Venturesがリードしたグロースファンディング(成長のための資金調達)ラウントで2000万ドル(約21億1000万円)を調達した

Knockの目標は、CRMツールを提供して不動産管理会社の事務部門を近代化して、バーチャルツアーやテキストメッセージ、メール、ソーシャルメディアによる賃貸者とのやりとりを「1枚の会話画面」でできるようにすることだ。Knockは賃貸者のために、もっと簡単に家主と会話をし近づくための手段を提供している。

モーライス氏は、Knockが賃貸業社向けのCRMであるのに対して、Sunroomはマーケットプレイスとして賃貸者が賃借人と出会い、内覧し、提携物件に購入申込みをする場である点が異なっていると指摘する。

「Sunriseは、パートナーに一連の賃貸・分析ソフトウェアも提供し、取引だけでなく定期収入も生み出せるようにします」とモーライス氏は付け加えた。

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タグ:Sunroom Rentals不動産資金調達

画像クレジット:Sunroom Rentals

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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