ブラックフライデーには、じっとしていよう

アメリカでは今日がサンクスギビング、そして明日は1年で最大のショッピング・デーだ。実際には店は今夜開くので、バーゲンハンターや接触愛好者たちのスクラムに入り込むことができる。私は、これを負け試合だと言いたい。少なくとも消費者電子機器とパソコンハードウェアに関しては。

明日出かけるな、と言っているのではない。おもちゃやスカーフや下着を家族に買いたい? 何をおいてもモールに走れ。これらの「ソフト製品」は、大量仕入れで安くなるので劇的にディスカウントをしても、利益の減少は数で補える。Legoの限定セール? 行くべきだ。

しかし、コンピューター・ハードウェアは全く違う話だ。今や消費者電子機器の利幅はあまりにも小さく、メーカーは1台当たり数セントしか儲からない。大幅にディスカウントされるのは、いずれにせよ消えゆく製品だ。私はBest Buyのブラックフライデーページを調べてみた。iPad 2が299ドルで売られているが ― 通常価格は399ドル ― Wi-Fiオンリーの16GBモデルだから、入門中の入門レベルだ。Appleのウェブサイトに行けば64GBモデルの整備品が469ドルで買える。「でもこれはママのためだから」と言うかもしれない。「本を読んで、たぶんSkypeするくらい」だったら、Kindle Fire HDXを50ドル安く買おう。モールに行く必要はない。

では、300ドルのノートPCはどうなのか(Best BuyにはToshiba製品がある)? うーん、セール品のノートの商品価値は長くないので、ブラックフライデーは在庫処理に最適だ。CESはもうすぐだし、IntelのBroadwellチップは3ヵ月ほどで出てくるだろう。つまり売られているのは陳腐さだ。

Xbox OneやPS4の割引も期待しないこと。そもそも店頭にないだろうし、ディスカウントなどあり得ない。

テレビを買いたい? Best Buyは、Insigniaブランドの39インチを169ドルで売っている。これは店内在庫のみなので、たぶん買えないだろう。買う価値はあるかって?ああ、もし余計な機能のない39インチモニターを探しているなら、イエス。おばあちゃんのために最後の1台を争う価値があるか? ノー。

つまるところ、ブラックフライデーは純粋に商業的活動だ。店はみんなに来てほしい。なぜなら、短時間に在庫を一掃できるから。彼らにとってホリデーシーズン後の落ち込みのためのクッションとなる。ショッピングを一種のイベントに見せている。私は大いなる商魂を全面的に支持するが、ブラックフライデーはソファーから起き上がって駆けつける価値のない、悲観的で詐欺的な体験だ。本物のオタクを喜ばせるなら ― ThinkGeekグッズを買うか、イカしたボードゲームにするか、小さなホビーショップでEstesロケットを買って、12ドルのBlu-Rayプレーヤーの争奪戦は他の連中にまかせよう。

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(翻訳:Nob Takahashi)