ブレーキライトになるデジタル看板を商用車後部に設置するRoad Runner Mediaが約67億円調達

南カリフォルニアに拠点を置くRoad Runner Media(ロード・ランナー・メディア)が成功すれば、クルマの運転中にも広告をたくさん目にするようになるだろう。

なぜなら、このスタートアップ企業が、技術屋のバンや配達車両、バス、その他の商用車の後部に、デジタルスクリーンを設置しているからだ。これらのスクリーンには広告が表示されるだけでなく、ブレーキランプとしても機能する。同社創業者で会長のRandall Lanham(ランドール・ラナム)氏によると、車両の後部にスクリーン看板を設置するには、ブレーキライト機能が必要だという。

「我々はこれをデジタルブレーキライトであると考えています」と、ラナム氏はいう。確かに、このブレーキライトには広告が表示されているが「ドライバーがブレーキペダルに足を乗せると、広告は中断されます」。この広告スクリーンには、ウインカー、リバースランプ、緊急時のハザードランプも表示することができる(上の画像はモックアップだが、下の動画では実際の映像を見ることができる)。

このアイデアを追求するために、ラナム氏(自身を「回復弁護士」と表現した)は、Chris Riley(クリス・ライリー)氏を最高経営責任者(CEO)に起用した。ライリー氏の経歴には、PepsiCo Australia and New Zealand(ペプシコ・オーストラリア&ニュージーランド)でCEOを務めた数年間が含まれる。そしてRoad Runner Mediaは先週、Baseline Growth Capital(ベースライン・グロース・キャピタル)から6250万ドル(約67億円)のデットファイナンスによる資金調達を行ったと発表した。

移動体に広告を設置するというアイデアは新しいものではない。もちろん、タクシーの屋根にも広告があるし、Firefly(ファイアフライ)のようなスタートアップ企業は、Uber(ウーバー)やLyft(リフト)のライドシェア車両の上部にデジタルサイネージ広告を取り付けている。しかし、Road Runner Mediaの頑丈で高解像度の液晶画面は、サイズ、品質、配置場所の点で大きく異るとライリー氏はいう。

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「(タクシーの屋根に設置されている広告には)色、輝き、鮮明さがありません」と彼は語った。「私たちはスクリーンを使って本物の動画広告を流すことができます」。

ライリー氏によると、広告はGPSと時間帯に基づいてターゲットを設定することができ、最終的には、実際に広告を見ている人のデータを収集するためにセンサーを追加することも、同社では計画しているという。

このような大きくて明るい画面は、後続ドライバーの注意を逸らすことになるのではないかという懸念もあるが、実際にはドライバーの目をあるべき場所に正確に引き付け、見逃すことがはるかに難しいブレーキライトを作り出すものであると、ラナム氏は主張している。

「ドライバーの目線を、床やラジオを見たり、左右を向いたりする動きから、水平方向に固定することになります。これは米国運輸省が望むとおりのことです」と、彼はいう。「目線がダッシュボードの上にあるが、最も安全に運転できるのです」。

実際にラナム氏は、道路をより安全にするという同社の使命に「非常に情熱を注いでいる」と語り、公共サービスのメッセージを広げるために使用できるプラットフォーム作りにも取り組んでいるという。

「私たちには、どんな車両にも取り付けることができ、高速道路をより安全にする能力があります」とラナム氏は語り「私は、実際に、本当に、私たちがこれまで救えなかった命を救うことができるようになると信じているのです」と付け加えた。

同社によると、すでにアトランタ、ボルダー、シカゴ、ダラス、ロサンゼルスで150台のスクリーンを取り付けた車両が走っており、3月にはフィラデルフィアとワシントンD.C.でも起ち上げを計画しているという。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Road Runner Media広告資金調達

画像クレジット:Road Runner Media

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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