ブロックチェーン・アプリ開発ツールのTECHFUNDが1.2億円を調達、起業家への技術支援を加速

写真右からTECHFUND代表取締役の川原ぴいすけ氏、共同代表の松山雄太氏

スタートアップや起業家の技術的支援を行うTECHFUNDは7月17日、野村ホールディングスのコーポレート・ベンチャーキャピタルファンド、ユナイテッド、インフォテリア、西川潔氏、竹内秀行氏、そのほか数名の個人投資家を引受先とする1億円の第三者割当増資、ならびに西武信用金庫と日本政策金融公庫からの2000万円の融資により、総額1.2億円の資金調達を実施したと発表した。

同社は2018年6月21日に、ブロックチェーン・アプリケーションの開発を支援するサービス「ACCEL BaaS」β版をリリース。今回の増資をもとに、同サービスの開発を加速させるという。

ACCEL BaaSの強みは簡単にブロックチェーン・アプリケーションを開発できること。APIを呼び出してブロックチェーン・アプリケーションの開発に必要となる基本機能を実装することが可能だ。特定のプログラミング言語に依存しないため、ウェブだけでなくIoTや基幹システムなど多様なケースへの導入が想定されているという。

同サービスは頻繁に使われるスマートコントラクトをテンプレート化、そして設定をGUI化することで、Solidityなどのプロトコル固有の開発言語に習熟せずに、一般的なブロックチェーン機能を提供できるように設計されている。

また、各種ブロックチェーンのプロトコル間で互換性を担保。サービス開発の検証におけるプロトコル間のスイッチングコストを低減し、本番稼働までスピーディに移行できる。現在はEthereumのみの対応だが、NEOやLISKなど各種ブロックチェーンに順次対応していく予定だ。

代表取締役の松山雄太氏は「ブロックチェーンで何かをやろうと思った時に、実際にサービス化出来ないとうケースが非常に多い」と開発理由について説明。

共同代表の川原ぴいすけ氏は「僕たちのサービスを使うと、簡単なDapps(分散型アプリケーション)が5分くらいで作れたりする。そういった意味で、ブロックチェーン・アプリのケース・スタディーを爆発的に量産させたい。そうすることによって、イノベーションの波を作っていく、というところに寄与したい」と語った。

TECHFUNDは2014年10月9日に設立。お金の代わりに技術を投資することによってスタートアップを支援する技術投資ファンド(同社いわく世界初)として活動を開始した。これまで250チーム以上のメンタリング及びデューデリジェンスに携わり、6社への技術投資を実行したという。

だが、いわゆるコンサルティング・サービスを提供してきた同社がプロダクトをリリースするのは今回のACCEL BaaSが初めてだ。川原氏は「そういった意味では大きな転換期だ」と話した。

松山氏によると、これにより「より多くのスタートアップを支援できる」という。「色んなところに拠点を持つ、もしくは拠点がないスタートアップが多くなってきている」と説明し、「私たちがスタートアップを支援するには、物理的な支援よりも今回のツールのような間接的な形による支援が一番良いと思った」と述べた。

とは言え、ACCEL BaaSもリリースしてからまだ1ヶ月ほどしか経っていない。同社は調達した資金を「プロダクトの開発であったり、マーケティングに使用していく」という。

その上で、川原氏は「目指すべきところは ICOプラットフォームの創造。まずはDapps、ブロックチェーン界隈の市場をつくっていく必要がある」と語った。

「今回、インフォテリアというBCCC(Blockchain Collaborative Consortium、ブロックチェーン推進協会)を主導しているような株主にも参画していただいた。力を借りながら、“ブロックチェーンは必要だ”という市場を作るというのが、直近でやるべき事だと思っている」(川原氏)

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TechCrunch Japan

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