プレゼントと温かい気持ちや想いも贈れるアプリGoodyが4.2億円調達

Amazon(アマゾン)で相手の「ほしい物リスト」が見られるなら別だが、今の世の中、誰かにプレゼントを贈るのはとても難しい。贈りたい友だちや家族の住所、相手のサイズや好みがわからないことも多々ある。そこを改善しようと考えた新スタータップGoody(グッディー)は、このたび400万ドル(約4億2000万円)の資金調達を成功させた。ローンチされたばかりのGoodyの贈り物アプリを使えば、友だちや家族や、その他の愛する人たちのお祝いにプレゼントを贈ることができる。また近々、相手のことを思っているという意思表示がでできる「IOU」の合図を送ることも可能になる。

利用するには、まずはiOS版またはAndroid版のGoodyモバイルアプリをダウンロードして、アプリが提示する数百ものブランドの商品を見て回る。誕生日や祝日などの状況や、お祝いやお見舞いといった特定の目的で絞り込むこともできる。

画像クレジット:Goody

贈りたいものが決まったら、相手の電話番号を入力する。するとGoodyは相手にテキストメッセージを送信し、あなたがプレゼントを贈ろうとしていることを知らせる。もらう側が贈り物の受け取りを認めるリンクをクリックすると、選択された商品のウェブサイトが開く。そこで、洋服なら自分のサイズや好きな色、カップケーキなら好きな味など、オプションがあればもらう側が設定できる。

受け取り人はそこで自分の住所を伝えると、品物が発送される。その後、お礼のメッセージを送信することもできる。

このエクスペリエンスが他の既存の贈り物スタートアップと異なる点は、受け取る側はアプリをダウンロードする必要がなく、贈る側も相手の電話番号だけ知っていれば発送できるというところだ。

画像クレジット:Goody

Goodyのアイデアは共同創設者で、手練の起業家であり、スタートアップ投資家でもあるEdward Lando(エドワード・ランドー)氏によるものだ。同氏が以前Y Combinator(ワイコンビネーター)の支援で立ち上げたGovPredict(ガブプレディクト)は先日売却を果たした。また、Misfits Market(ミスフィット・マーケット)の最初の投資家であり、Atom Finance(アトム・フランス)の役員であり、ランドー氏が現在居住しているマイアミのPareto Holdings(パレト・ホールディングス)の業務執行社員でもある。

Goodyで彼に合流したのが、Even.com(イーブン・コム)で技術責任者を務めていたMark Bao(マーク・バオ)氏と、Lee Linden(リー・リンデン)氏。彼は贈り物スタートアップKarma Gift(カーマ・ギフト)を2012年にFacebook(フェイスブック)に売却したことで知られている。

ランドー氏は、自身が贈り物が大好きなのだが、現状ではそのプロセスにスムーズに行かない部分が多くあるため、このアイデアを実現させたいと思ったという。ギフトカードなら簡単に送れるが、それでは心が伝わらない。

「Goodyで私たちが最も大切に考えているのは、非常に強い親密な感覚です」とランドー氏。「Goodyを使って何かを誰かに贈ると、『おお、私のことを本当よく考えてくれたんだ、私のことを思ってこれを選んでくれたんだ』という感覚が伝わります。単に適当なものが送られてきたと感じられる程度ではダメなのです」と彼は話す。

このモバイルアプリは2020年12月中旬にローンチされ、現在は200件ほどの業者が提携している。多くは直販市場の企業だが、それ以外にも、ノンアルコール食前酒のGhia(ギア)、オンラインフィットネスのThe Class(ザ・クラス)、ペットのFable(フェイブル)、健康食品のMoon Juice(ムーンジュース)、Raaka Chocolate(ラーカチョコレート)といった新興企業が含まれている。

画像クレジット:Goody

Goodyのビジネスモデルには、提携業者との収益分配が採用されている。提携企業に代わってGoodyが伸ばした売上げに応じて手数料が増える仕組みだ。

ブランドは、自らはあまり動くことなく新規顧客を獲得できることから、Goodyとの取り引きに興味を示すとランドー氏はいう。

「今や、コーヒーやチョコレートや、さまざまなすてきな商品をオンラインで販売する消費者直販ブランドの数は、数千件に上ります」とランドー氏。「しかも今は、見つけてもらうためにはFacebookの広告枠を買わなければなりません。私たちは、人々が品物を探し出せるもう1つの手段です。私たちは、そうした商品を発見できる巨大ショッピングモールのようなものです」。

またこのアプリは、友だちや家族とただ繋がっていたい人たちに便利なものになることも目指している。その目的のために、Goodyは今週、「IOU」という無料ギフトの展開を開始する。誰かにその人のことを思っていると伝えるためのものだ。いうなれば「今度、街に行ったら夕飯をおごるよ」というようなものだ。または、心の贈り物を交換するようなものだ。

さらに、誕生日や人生の大きなイベントなどの重要な日を記録できるカレンダー機能も追加する予定だ。

Goodyは2020年3月に創設され、アプリは同年の12月中旬にローンチされた。現在までに、およそ1万点の贈り物がこのサービスを通じて贈られたとランドー氏は話している。

もちろん、年末休暇シーズンだけでなく、パンデミックも、Goodyの人気を早々と高める一助となった。

「パンデミックは、すべての人にとって過酷な問題だと思っています。なかでも、あまり気軽には口にできない問題として、パンデミックがすべての人に及ぼしている精神的な苦痛があると私は思います。私たちは、社会的なやりとりを楽しむ生き物なのです。人に会うと、特に大好きな人と会えると、とてもよい気分になれます。反対に会えなくなると、気力が大量に消耗されます」とランドー氏は訴える。

「直接人に会うことと同じだとは言いませんが、温かい気持ちや励ましを伝えるのに、Goodyはとてもよい方法だと考えます。利用された方はみな、使った後にいい気分になったと話しています。それは稀なことだと思います」とランドー氏はいう。

画像クレジット:ニューヨーク市街のGoodyの広告

またGoodyは、アーリーステージ投資として400万ドル(約4億2000万円)強を調達した。投資に参加したのは、Quiet Capital、Index Ventures、Pareto Holdings、Third Kind Venture Capital、Craft Ventures、そしてCoinbaseの創設者Fred Ehrsam(フレッド・エールサム)氏とQuora (Charlie Cheever:チャーリー・シーバー氏)などだ。

Goodyの従業員は9名。マイアミに本拠を置くが、リモートで働いている人もいる。バレンタインデーを前に、同社はタイムズスクウェアの看板にアプリのスポット広告を出した。1年で最も多くの贈り物が行き交うイベントの1つであるこの時期に、新しい利用者を獲得しようという狙いだ。

歴史の中には、死んでしまったか数年前に退場してしまった贈り物スタートアップが散見される。Bond(ボンド)、Giftly(ギフティー)、Token(トークン)、Sesame(セサミ)など、持続性のあるオーディエンスを大量に獲得できずに失敗した企業たちだ。しかしD2Cブランドの台頭と、出会いを求めてFacebookを使う若者の減少によって、新たなプレゼントスタートアップが成長できる環境が醸成される可能性がある。

Goodyアプリは、App StoreまたはGoogle Playで無料ダウンロードできる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Goody資金調達プレゼント

画像クレジット:Goody

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(文:Sarah Perez、翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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