プロのインテリアコーディネートを身近にする「KAREN」がローンチ、部屋づくりの悩み解決へ

個人がSNSやブログを通じて日常的に情報発信をするようになった今の時代、手元のスマートフォンから自分が理想とするライフスタイルやロールモデルを簡単に探せるようになった。

「インテリア」はその典型例だ。インスタを眺めていれば気になる家具や理想のコーディネートはいくらでも見つかるし、「RoomClip」のような特化型のSNSをチェックしてみるのもいいかもしれない。

SNSが普及したことでマスメディアで特集される“一部のすごい人”だけでなく、“ごくごく普通の人”の生活にも気軽にアクセスできるようになったのが近年の変化だろう。自分と同じようなステータスの人の実例を知ることで、自分でもできるような気持ちになるからだ。

ただ実際にやってみると簡単にはいかない。インテリアの場合はある程度の予算や労力がかかることも多く、スキルも問われる。僕も引越しの度に気合いを入れて家具を新調したりするけれど、いざ設置してみるとサイズ感やテイストが上手く合わずイメージとかけ離れてしまった経験が何回もある。

前置きが長くなってしまったが、本日1月16日にローンチされた「KAREN」はそんな部屋づくりに関する不安や不便を、「オンライン完結のインテリアコーディネートサービス」というアプローチで解消するサービスだ。

プロのコーディネートをECと連動した3Dモデルで提案

KARENのウリはコーディネートを考える工程からそれにマッチした家具を探して試す工程までを、オンライン上で、かつ自分の要望に沿った形で実現できる点にある。

ユーザーが事前に入力したデータを基にプロのインテリアコーディネーターが部屋をコーディネートし、それを写真のような3Dイメージで再現。3Dイメージ内で使われている家具はそのままECサイト上で購入できるような形でユーザーに提案される。

プロにコーディネートを任せることでテイストや配置、配色などインテリアを「考える」際の課題を解決し、ECサイトと連動することで複数のサイトから自分が欲しい家具を「探す」手間を削減。そして3Dイメージを用いて具現化することで、実店舗まで足を運ばずとも「試す」ことができる仕組みだ。

運営元であるASHBERY代表取締役CEOの武藤諒俊氏によると、コーディネートを担当するのは応募倍率20倍の審査から選ばれたメンバーとのこと。データ入力が完了してから最短5日(最大で14日ほど)で提案が届く点や、通常の5〜30%OFFのKAREN特別価格で購入できる点も特徴だという。

サービスの利用料金は1部屋当たり7980円。ユーザーは料金を支払った後、コーディネートして欲しい部屋の写真や間取り、好みのテイストや普段のライフスタイルなどを入力していく。これがユーザーの嗜好を集めたカルテのような役割を果たし、コーディネートの軸になるわけだ。

武藤氏が「プロのコーディネーターに依頼すると10数万円かかることも珍しくなく、一部の人だけしかお願いできないのが現状」と話すように、KARENが上手く機能すればより多くの人が専門家に部屋づくりの相談をできるようになる可能性もある。

一方で少なくとも現在のKARENではユーザーとコーディネーターがチャットや電話を通じて頻繁にやりとりする仕様にはなっていないため、事前に入力されたデータがどこまでユーザーの要望を反映しているかによってコーディネートの質も決まってくる。

今回データ入力の画面の一部を見せてもらったのだけど、割と細かく手の込んだ作りになっている印象を受けた。

間取りや部屋の写真といった基本的な情報に加え、その部屋での過ごし方や部屋にいる時間帯、部屋を訪れる人や理想の生活などライフスタイルに関する質問も多い。複数のコーディネート画像からピンときたものを選んでいく工程を何度か繰り返すことで、オススメのスタイルが表示される「診断クイズ」のようなコンテンツも用意されていた。

少なくとも「数分で最低限の情報を入れればすぐにオススメのコーディネートがレコメンドされる」といったようなものではなく、最初はある程度細かく情報を入れていく仕様。この点に関しては「単純なアンケートフォームだけでニーズを正確に掴むのは難しい。(KARENでは)オシャレだけではなく暮らしやすさにもこだわっていきたい」(武藤氏)という意図があるという。

プロのコーディネートをECと連動した3Dモデルで提案

武藤氏はサンフランシスコのbtraxを経てリクルートホールディングスに入社し、プロダクトマネージャーやUXデザイナーとして複数の新規事業に携わってきた経験をもつ人物。その武藤氏がフリマアプリ「フリル」を生み出したFablic出身の水谷正伸氏と共同で創業したのがASHBERYだ。

2人がKARENを開発するに至ったきっかけは、「1LDKの物件からワンルームの物件へ引越しした際にそのまま家具を持っていくと、サイズやテイストが合わず住みづらくなってしまった」という武藤氏の個人的な“失敗体験”だった。

「買い換えようと思っても結構な金額がかかるし自分のセンスに自信もない。ネットでコーディネートや家具を探すのも時間がかかり大変なので、その状況を打破できずにいた」(武藤氏)

水谷氏ととあるカフェに入って事業案を考えていた際、そのカフェがオシャレで居心地が良かったこともあり自身のインテリアに関する悩みを話したところ「それはサービスになるじゃん」と盛り上がったところからKARENが始まった。

冒頭でも触れた通り、インターネットを使えば理想のコーディネート事例などを見つけるのは難しくない時代だ。ただそれを実現するとなると別問題。武藤氏によると今回のローンチに先駆けてテスト的にクローズド版を運営したところ、実際に課題を感じているユーザーが多かったという。

「家具を入れ替える際に『高額だから誰かに相談したいけど、(プロに依頼するのは)高いからどうしようか悩んでいる』という声が多かった。今までは結局自分で色々調べてやっているが、時間はかかるし失敗してしまうこともあり、そこに対するペインが大きい」(武藤氏)

テスト版では30代前半の主婦の利用が特に多く、家族がいる人がそのうちの約半数。ライフステージが変わるタイミングでの引越しや模様替えのニーズが中心で、全員がリビングへのアドバイスを求めていた。すでに保有している家具を使ったコーディネートも人気だったという。

「家はほとんどの人にとって、日常の多くを過ごす場所。仕事で疲れた自分を癒すだったり、大切な家族と過ごすだったり、その場所を豊かにすることが重要だと考えている。どこに住むかももちろん大切だが、インテリアにこだわることで生活も変わる。KARENを通じてもっと手軽に、少しでも豊かな暮らしができるサポートをしていきたい」(武藤氏)

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TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。