プロセスマイニングからカスタマーエクスペリエンスへと向かうCelonis

Celonisは、企業内部のプロセスの理解と改善を自動化する活動である「プロセスマイニング」というアイデアを生み出した企業だ。しかし、企業が自社の内部プロセスを理解することの効果は限定的なものだ。最終的には、企業はその情報を使用して、カスタマーエクスペリエンスを向上させる必要があるからだ。だが本日発表された新しい運用レイヤーが、それらを実現するのに役立つかもしれない。

カスタマーエクスペリエンスの管理について考えようとする際に、私たちがまず意識するのは消費者向けアプリケーションやWebサイトである。もしそれがうまく機能していない場合、あるいは購買プロセスに不要な摩擦がある場合には、顧客を失ってしまう可能性がある。

しかしCelonisの共同CEO兼共同創業者であるアレクサンダー・リンケ氏は、プロセスの最前線での摩擦を排除することは、解の一部に過ぎないのだと語る。製造業者や倉庫そしてバックエンドシステムを含む配送システムのどこかに問題がある場合には、そこで起きる摩擦もやはり難しい問題となるのだと彼は述べている。

「プロセスマイニングが本当に役立つのは、摩擦がある場所を明らかにしてくれることです。企業が直面する最大の課題は、運用の中に大量の摩擦があることです。物品は滞留し、配送は遅延し、顧客との約束が破られています」と彼は言う。

Amazonがうまく機能する理由の一部は、顧客が簡単に注文をWebサイトまたはアプリケーションで出すことができるようにしただけでなく、注文を受け取ったAmazonが、約束された時間内に商品を顧客に届ける方法を考え出したことだ。もしそのプロセスに遅延があったなら、人びとは、今ほどAmazonに引き寄せられることはないだろう。

しかしほとんどの企業はアマゾンのような優れた運用環境を所有していない。そここそがCelonisが、運用上の問題点を特定しそれを自動化によって解消することで、支援できると考えている場所だ。「当初私たちは、見通しを良くして、複雑な企業の中で何が起きているかを理解することができる、発見のためのツールを販売していました。そして現在は、ますます多くの企業がこうして得られた洞察を運用に取り込もうとしているのです。問題に取り組み、不具合を修正し、そうした修正を自動化することを望んでいるのです」とリンケ氏は説明した。

これに対する同社の答えがWorkflow Engineのベータ版である。これは企業がその運用フローを改善することを助けるツールだ。説明によれば「コード不要、ポイントアンドクリックのワークフローにより、ビジネスアナリストがプロセスステップをアレンジし、システム間でプロセスフローを連携させることができます」ということだ。これには、SAP、Oracle、Salesforce.com、ServiceNow、Jiraなどの一般的なツール用に、すぐに使えるテンプレートが含まれている。

彼は、電子決済に切り替えてみたものの、顧客がまだまだ彼らの動きについて来ていない企業の例を挙げた。彼らは、ツールを使うことによってそうした顧客を特定し、そうした人たちに対してもし次回の注文を電子的に決済するのならばディスカウントをすると提案することができる(既に電子決済をしている顧客の邪魔はしない)。

同社はまた、SAPシステムへの接続を容易にするための新しいツールも発表した。リンケ氏が指摘しているように、世界中の企業でバックエンドを実行している、システム(財務、在庫、人事など)が何百も存在している。それらが抱える歴史と複雑さのために、接続は必ずしも容易なものとは限らない。

その解決のために、同社はBanyasを買収したことを明らかにした。Banyasは、SAPシステムのワークフローを自動化するためのツールであり、大規模組織全体のプロセスフローを理解し自動化するという同社のビジョンにぴったり合うものだ。

Celonisは2011年に設立された。現在700人以上の従業員を擁し、約7800万ドルを調達している。

画像クレジット: noipornpan / Getty Images

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(翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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