ベトナムのヘルスケア予約アプリDocosanが1億円以上のシード資金を獲得

ホーチミン市に拠点を置くDocosan(ドコサン)は、アプリで医師を検索・予約できるようにすることで、患者が長い待ち時間を回避できるようにする。同社はベトナム時間4月14日、100万ドル(約1億1000万円)以上のシード資金を調達したことを発表した。これは、ベトナムのヘルステック企業としては過去最大規模のシードラウンドであるという。今回の投資は、台湾を拠点とするアーリーステージへの投資やアクセラレータープログラムを提供するAppWorks(アップワークス)が主導し、加えてDavid Ma(デビッド・マー)氏とHuat Venturesが参加している。

共同創業者で最高経営責任者のBeth Ann Lopez(ベス・アン・ロペス)氏がTechCrunchに語ったところでは、2020年に創業したこのアプリは、約5万人の患者が予約に利用していて、現在では小規模な家族経営の小児科クリニックから大規模な私立病院の神経外科まで、300以上の個別医療機関が登録されている。医療機関は、プラットフォームに登録される前に審査されているが、平均して18年の臨床経験を持っている。

ロペス氏によると、ベトナムでは医師の事前予約は一般的ではないという。ロペス氏は「(一般的に、民間の医療機関を利用する人々は)価格や質に大きな差がある3万以上の民間の病院や診療所の中から自分で選ばなければなりません。そのため、人びとは医療機関を選ぶ際に、家族や友人からの口コミによる推薦を利用しているのです。そして、病院やクリニックに足を運び、時には何時間も列に並んで待つのです」という。

関連記事:データは米国の不公平なヘルスケア問題を解決できるだろうか?

Docosanのユーザーは、所在地や専門分野などの条件で医療機関を絞り込み、価格情報や認証済みのカスタマーレビューを見ることができる。最近、オンライン決済機能や保険との連携機能が追加された。ハーバード大学のLaunch Lab X(ローンチ・ラボX)に参加した同社は、今後、遠隔医療サービスや薬局サービスも開始する予定だ。

アプリに登録された医療機関にとっては、Docosanが予約と待ち時間の緩和のためのソフトウェアを提供してくれることが1つの重要なセールスポイントとなっている。これは、新型コロナウイルスのパンデミック下では、混雑した待合室に座ることを嫌がる人が多いからだ。ロペス氏は、医師が行わなければならないマーケティングや管理業務の量が減ることで、患者さんに接する時間を増やせるというメリットもあるという。

スタートアップは、他国への進出も計画している。ロペス氏は「Docosanは、大規模で互いにうまく連携していない民間医療システムがある場所ならば、どこでもうまく機能するソリューションです」という。「まるでGrabタクシーを予約するように、名医を簡単に見つけられる世の中になれば、私たち全員が恩恵を受けることができます」。

AppWorksのパートナーであるAndy Tsai(アンディ・サイ)氏は以下のように語る「DocosanがAppWorks Acceleratorに参加してくれたおかげで、同社の可能性に早くから注目できていました。Docosanの創業者たちは、地域のヘルスケア問題に対する豊富な経験を持ち献身的な姿勢を示しています。私たちは、すべての人がより良い医療を受けられるようにしたいというDocosanのビジョンをサポートできることを誇りに思います」。

関連記事:バングラデシュの医療の質を遠隔医療と物理的な診療所で向上させるPraava Healthが11.5億円調達

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Docosanベトナム資金調達医療

画像クレジット:Docosan

原文へ

(文:Catherine Shu、翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。