ベンチャーキャピタルのデータ会社「Dealroom」が約7.8億円のシリーズAを調達

ヨーロッパのスタートアップで、ベンチャーキャピタルのデータ会社であるDealroom(ディールルーム)が、600万ユーロ(約7億7600万円)のシリーズAを調達したと、TechCrunchに語った。

同社は2020年初頭に275万ユーロ(約3億5500万円)を調達して以来、約2年での新たな資金調達となる。同社のデータベースは、PitchBook(ピッチブック)、CB Insights(CBインサイト)、そして私の元勤務先Crunchbase(クランチベース)など、北米の多くのライバルと競合している。

シリーズAはBeringea(ベリンジア)が主導し、以前同社に投資していたKnight Venture Capital(ナイト・ベンチャー・キャピタル)とShoe Investments(シュー・インベストメント)も参加した。このラウンドをよりよく理解するために、TechCrunchはDealroomの創業者でCEOのYoram Wijngaarde(ヨラム・ワインガールデ)氏にいくつかの質問を投げかけた。

Dealroomのビジネス

このスタートアップは、公開スクレイピングやパートナーシップを通じて、非公開の市場企業のデータを収集している。そして、そのデータをクリーニングし、同社のソフトウェアにかけることで、Dealroomの言葉を借りれば「実用的な予測を明らかにする」のである。

つまり、Dealroomはデータ収集、クリーニング、合成の3つのパートが連動している。

世界中に溢れかえる資金調達イベントに対応するために、より多くの資本が必要なのはわかるだろう。実際、Dealroomのような企業は、好景気のような波に乗りつつある。彼らの中核的な市場であるプライベート・コーポレートは急速に拡大しており、スタートアップゲームに参加している多くの企業が潤っている。そのため、Dealroomは多くの仕事を抱えており、また、それを売る相手もたくさんいる。

同社のビジネスには、企業や政府の顧客にAPIを提供したり、SaaSベースでプラットフォームへのアクセスを販売するなど、いくつかの方法で収益を上げている。また、同社は顧客調査も行っている。ワインガールデ氏によると、政府系APIの顧客は50社で「(同社の)収益の約3分の1を占めている」という。

より一般的には、同社の「収益ミックスは、投資家、B2B企業、政府の間でほぼ3等分されている」と、そのCEOは述べている。つまり、Dealroomの収益は一本足ではなく、3つの異なるグループが同社の提供するものを購入している。

Dealroomとそのライバルにとって好調な時期であるという話に戻ろう。Crunchbaseによると、Dealroomは2021年、およそ3800万ドル(約43億4100万円)のARRに達する見込みだ。Dealroomの収益の大部分を政府が占めているという事実は注目に値する。政府は、世界中に均等に広がっていくにつれ、スタートアップのゲームに注目し、地元の市場や周囲の市場をよりよく理解するために、喜んで支出をする。

資本面では、TechCrunchはワインガールデ氏に、同社がわずか600万ユーロ(約7億7600万円)しか調達できなかった理由を尋ねた。今日の市場において、これは控えめなラウンドだ!

ワインガールデ氏は、Dealroomが「ビジネスの必要性」と「資本の利用可能性に基づいて(自分たちを)あまり先取りしたくなかった」という事実の両方に基づいて、新しいラウンドの「サイズ」を決めたと述べた。また、Dealroomが「幸運にも、健全な資本効率と結びついた強力な成長収益を持っている」と付け加えた。このことは、短期的な資本増強の必要性、ひいては希薄化を抑制する。

次はどうなる?

Dealroom、Crunchbase、その他データゲームに関わる企業は、データを持つこと、データを収集すること、などデータに関して非常に優れている。Dealroomが、今後そのデータでやりたいことは、データをより賢く活用することだ。ワインガールデ氏は、今後の展望として「プラットフォームの予測能力を拡大し、顧客がより早い段階で有望企業を発見できるようにすることに重点を置いています」と答えた。

もし、それを実現できれば、同社は、少なくとも投資家向けに、価格設定ページにゼロを追加することができる。私が働いていた別の会社、Mattermark(マターマーク)は、同じようなものを作りたがっていた。これは、大きくて難しい問題で、正確で分刻みのデータを大量に必要とする。

長くなる前に、TechCrunchはデータ収集ビジネスにおけるある仕組みをもっと理解したいと思った。そこで、Dealroomに、データ収集とキュレーションを収益コストとしてカウントしているのか、それともマーケティング運用コストとしてカウントしているのかを尋ねた。ワインガールデ氏の返事は以下の通りだ。

データ収集は、一部は収益コストとして、一部は製品開発費として(営業費用に)計上しています。また人間主導の研究も多く、これは収益コストに計上されていますが、多くのコンテンツマーケティングを生み出していることから、マーケティング・コストと見ることもできます。

答えは、両方であることがわかった。このミックスをもっと理解したいし、プライベートマーケットデータビジネスの企業の1つが株式公開を申請すれば、もっと理解が深まるに違いない。

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Alex Wihelm、翻訳:Yuta Kaminishi)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。