ホンダが「空飛ぶハイブリッドカー」「アバターロボ」「月面循環エネルギーシステム」「再使用型小型ロケット」など挑戦

ホンダが「空飛ぶハイブリッドカー」「アバターロボ」「月面循環エネルギーシステム」「再使用型小型ロケット」など新領域に挑戦

Avatar / 20th Century Studios

ホンダが「新しい事業領域に関する説明会」を開催し、都市間や都市内移動用の「Honda eVTOL(電動垂直離着陸機)」や、時間や空間の制約に縛られず、バーチャルな能力拡張を実現する「Hondaアバターロボット」の開発に取り組んでいくと発表しました。また、月面で使用することを想定した燃料電池式発電システムの開発も行うとしています。

ホンダはeVTOLにはEVやPHEVで培ったリチウムイオン電池に加えガスタービン式ハイブリッドパワーユニットを搭載し、電池だけでは足りない航続距離を確保します。もちろんこの計画はまだごく初期の段階なので、実機が登場するには10年ほどの歳月がかかると予想されます。ホンダは2030年代に試作機、開発機を制作し、2040年代の商業化を目指しています。

次世代の交通であるeVTOL分野には、スタートアップから既存自動車メーカーまで多くの企業が参入しています。たとえばNASAと提携するJobyは実物大のモックアップに近い試作機をすでにテスト的に飛行させています。また、VTOLではないもののスロバキアのKlein Visionは今年、空陸両用車「AirCar」の35分間の有人飛行を成功させています。ただ、まだ乗客を乗せての商業飛行を行うには機体の安全性や信頼性、搭乗可能人数、航続距離、そして既存の法規制といったさまざまなハードルがあり、それらをひとつひとつ解決潰していかねばなりません。先行する企業に遅れての参入はホンダにとってハンデかもしれませんが、ホンダにはすでに小型ジェット機の開発実績・技術があり、それをeVTOLにも応用できると考えられます。

一方「Hondaアバターロボット」については多指ハンドと独自のAIサポート遠隔操縦機能を組み合わせたものになり、利用者はわざわざ遠隔地に出向くことなく、VRヘッドセットとグローブを通じてアバターロボットの視覚と触覚を借りて作業ができるようになるとのこと。たとえば、多指ハンドを通じて人が使う道具を使いこなし、AIサポートによって複雑な作業も直感的な操作で正確に行えることを目指すとしています。

このロボットはASIMOをベースに改良を加えたものになるとしており、2024年第1四半期末までに技術実証実験を行う計画。そのための第一歩としてはASIMOの手をもっと小さくしつつ、物を掴む力を向上させるための開発を行うとのこと。

さらにもうひとつ、ホンダは宇宙開発にもその守備範囲を拡げようとしています。「燃焼・誘導制御技術、燃料電池技術、ロボティクス技術といったHondaならではのコア技術」を活かし、月面で利用可能な循環型再生可能エネルギーシステムの構築を検討しています。

このシステムでは、太陽光など再生可能エネルギーとして得た電力を使って、液体の水を電気分解し、水素と酸素を生成します。これを燃料電池で使用して発電すると同時に月面の居住施設に酸素とロケットの燃料にもなる水素を供給します。

ホンダが「空飛ぶハイブリッドカー」「アバターロボ」「月面循環エネルギーシステム」「再使用型小型ロケット」など新領域に挑戦

©JAXA/Honda

ほかにも、ホンダは若手技術者の発案をきっかけとした小型ロケットの開発にも取り組むことを明らかにしました。これは地球低軌道への小型人工衛星の打上げを目標とするとのことです。JAXA/Honda

(Source:HondaEngadget日本版より転載)

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TechCrunch Japan

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