ボタニカルライフメディア「LOVEGREEN」のストロボライトが1.4億円を調達、サービスECのマーケット創出へ

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ボタニカルライフメディアの「LOVEGREEN」を運営する日本のストロボライトは本日、ニッセイキャピタル株式会社を引受先とした第三者割当増資により1億4000万円を調達したことを発表した。同社は2015年9月30日にも資金調達を実施している(金額は非公開)。また、株式会社アイスタイル出身の川上睦生氏が10月1日付けでCOOに就任したことも同時に発表された。

同社は今回調達した資金を利用して、LOVEGREENのグロース、新規事業となるサービスEC事業の立ち上げ、そしてそれに伴う人材強化とオフィス移転を予定している。

コアなファンも認める質の高いコンテンツを

2012年創業のストロボライトが手掛けるのは、植物の育成管理や飾り方などの情報を配信するボタニカルライフメディアの「LOVEGREEN」だ。現在、同メディアのFacebookページでは約9万4000の「いいね!」数を獲得しており、植物関連では最大のメディアと言えるだろう。現在のところMAUとPVは公表していないが、代表取締役の石塚秀彦氏は「年明けくらいには公表することも考えている」と話す。

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LOVEGREENが集中的に取り組むのが、記事クオリティの維持向上だ。当初は外部のライターを中心にコンテンツを製作していたものの、クオリティのさらなる向上を目指し、編集部所属のライターを増やしていく方針に転換している。「読者の半数以上が、週に1度は園芸ストアに通ったり、イベントに参加している人たち」だという。石塚氏がある植物の生産者とインタビューした際には、「あの記事どうやって書いてるの?実は、LOVEGREENの記事を参考にして育ているんですよ」と言われることもあったそうだ。

注目すべきはLOVEGREENの読者層だ。同メディアの読者層は40代前半の女性であり、読者の半数以上が「戸建て持ち」の主婦層だという。そこで出番となるのが、ストロボライトの新規事業である。

既存サービスとのシナジー効果の高いストック型のビジネス

ストロボライトは庭の造園・植栽・剪定の見積もりと注文ができるサービスEC事業の立ち上げを予定している。外部の専門業者とユーザーをつなげる仲介型のマーケットプレイスだ。上述したように、LOVEGREEN読者の半分が庭の手入れが必要な戸建て持ち世帯であることを考えれば、既存サービスであるLOVEGREENと新規事業のシナジー効果はとても高いと言える。

気になるのはその市場規模だ。植物にフォーカスする直接的な競合はいないというが、それはその業界がニッチな市場だからなのではないか。しかし石塚氏によれば、「日本には園芸にお金を使う人が全国で3000万人いて、市場規模は1兆円を超える」と語る。さらに、この業界のサービス単価は高い。

枝の一部をはさみで切り取るという、比較的シンプルな作業の「剪定」の単価こそ3万円程度だが、空間のコーディネートである「造園」の場合、数十万円から数百万円の単価になる。

植物は時間が経てば伸びてくる。伸びすぎた枝は切らなければならない。だから、ストロボライトの新規事業は、リピーターさえ増やせれば継続的収入も見込めそうだ。

「造園業者も高齢化がすすんでいて、業者のWebページを見てみても時代遅れと言わざるを得ないようなデザインなのが現状。業者の方々に、この事業について話をしてみても”こういうのがあればよかった”と言われたこともあり、新サービスに対する変なしがらみなどもない」(石塚氏)

新規事業の収益モデルは手数料型で、石塚氏は「当初は実績をあげることに集中するが、消費者と施工業者にそれぞれ付加価値を提供することができれば、将来的には最低でも15%から30%程の手数料率は狙えるのではないか」と話している。

しかし、マーケットプレイス型のビジネスだからこそ懸念されるのが、ユーザーと業者の直接取引だ。実際、人的資源のマーケットプレイスであるクラウドソーシングの「ランサーズ」や「クラウドワークス」でもこのような行為を利用規約により禁止している。それについて石塚氏は、「既存サービスであるメディアを通じてユーザーとの信頼関係を構築したり、ポイント制を導入することなどを考えている」と話しているものの、同社のマーケットプレイスにどれだけユーザーを巻き込めるのかがリリース後の課題となりそうだ。

「ボタニカル石塚」CEOと、彼に魅了された新COO

メディアを通じてファンを獲得することが、直接取引という問題の解決策の1つだが、10月1日付でCOOに就任した川上睦生氏も、実は入社以前からLOVEGREENのファンの1人だったという。川上氏は、「他のメディアが書いている植物に関する記事と比べても、LOVEGREENの記事のクオリティは全然違うと感じていた。そういうこともあり、求人広告を見た瞬間”ここだ!”と思った」と入社したきっかけについて話す。さらに、「石塚さんと話した瞬間から3年くらい先の事業プランも見えたし、彼の熱い気持ちを感じた」とも語る。「Incubate Camp 8th」のプレゼンテーションの最中、みずからを「ボタニカル石塚」と改名する程のCEOの情熱に魅了されたのだろう。

植物への愛にあふれる「ボタニカル石塚」CEOと、新しくCOOに就任した川上氏の新体制となったストロボライト。彼らが次に情熱を捧げる新規事業は、2017年2月から3月頃のリリースを予定している。

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TechCrunch Japan

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