ボーイングが737Max墜落事故の遺族らに総額100億円超を支援

ボーイングは、同社の旅客機であるボーイング737Maxの事故で犠牲になった乗客の遺族らに対して、総額1億ドル(約108億円)の支援金を贈ることを発表した。この初期支援活動は、346人を死に至らせた同社の過失に対する同社の償いのおそらくごく一部にすぎない。

同社は声明文で、見舞金は「家族や関係者のニーズにこたえ、教育や困窮、生活費などの支援になる」ことを期待していると語った。

「亡くなった方々命はいつまでも私たちの心に重くのしかかっています。乗客のご家族や大切な人たちには心からお悔やみを申し上げるとともに、このお見舞いが少しでもお役に立てることを願っています」とCEO・プレジデントのDennis Muilenburg(デニース・ミュレンバーグ)氏が声明で語った。

事故の詳細は今も調査中だが、ミュレンバーグ氏はすでに責任を認めており、「どちらの事故においても、Maneuvering Characteristics Augmentation System(MCAS)と呼ばれる失速防止奇行が、誤動作した」ことを表明している。

この問題に加えて、機体の制御を突然奪われた際の操縦士の訓練がなされていなかった。ただし、操縦士らはMCASの誤動作にできる限りの対応をしたと報じられている。これらの事故以来ボーイングは、安全、訓練、規制に関して手を抜いていた疑いをかけられている。墜落の主な原因は粗悪なプログラムにあると言われている。

この初期支払いは自主的に行われた。航空機メーカーがこれだけの金額を裁判の結果を待たずに被害者に支払うのは極めて異例だ。ボーイング、エアバスなどの会社が、保険その他の形で賠償支払いしことはもちろんあるが、一般には訴訟によって強制されたあとだ。ときには、企業が遺族に現金を渡すことで訴訟を回避することもあるが、公表されないことが多い。

訴訟も現在進行中であり、それぞれの事故について数十の家族が裁判を起こしている。裁判がもたらす賠償額は予想もつかないが、命が失われ、ボーイングの間違いが直接の原因であることから、同社はさらに数億ドル規模の支払いを命じられる可能性がある。

これらの墜落事故に関する訴訟は多くの注目を集めることになるだろう。これだけの規模の悲劇が、たとえ部分的にせよ、ソフトウェアによってもたらされたからだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。