マイアミのAsteyaが小企業オーナーやギグワーカー向け「収入保険」商品を発売、保険に人間らしさをもたらす

フロリダ州マイアミ拠点のAsteya(アステヤ)は小企業オーナーやギグワーカーを対象とした就業不能保険のスタートアップだ。このほど1000万ドル(約10億9000万円)のシードラウンドを終えて開業した。共同ファウンダーでCEOのAlex Williamson(アレックス・ウィリアムソン)氏は、元Bumbleの最高ブランド責任者で、Asteyaを「収入保険」のスタートアップと称している。

発表は2021年2月のBumbleのIPOに続くもので、Bumbleの元幹部たちは、現金を手にしたら自分たちで次のユニコーンを設立できると考えていたのだろう。

Bumble在籍中、ウィリアムソン氏は治療休暇を取得した。「Bumbleが私の医療休暇に対してあれほど寛容でなかったら、就業不能保険が必要だったでしょう」と彼女は語った。

関連記事:マッチングサービスBumbleが1株43ドルでIPO

Alex Williamson氏 画像クレジット:Asteya

同氏によると、米国の雇用主の51%が従業員向けに不就業保険をかけている。残りの49%では、労働者は自分に何かが起きても保護されない。昨今の移り変わりの激しい環境に働く人々は、その多くが中小企業オーナーとギグワーカー、フリーランスだ。Asteyaが最初のプロダクトでターゲットにするのがこのカテゴリーだ。同社は、月額6ドル(約650円)からのかけ金で、最大50万ドル(約5450万円)の一括払い補償を提供する。

病気になり、回復するまで休暇を取る必要があるとき、家賃をどうやって払おうか、その他の定常的支払いをどうするかを心配することは、それ自体が苦痛である。

「財務状態が不安定になると、助けを求めることに集中できなくなります」とウィリアムソン氏がTechCrunchに語った。

就業不能保険に入っていない人が病気になったときは、国に就業不能申請することができる。大きな違いは、就業不能保険は直ちに支払いが行われることで、国の就業不能補償は政府の承認が下りてからしか支払われず、手続きは煩雑で数カ月かかるといわれている。自分で申請しようとした人の多くが承認を得られず、結局弁護士を使う結果になる。そして、その支払金額は、月額数百ドル(数万円)から数千ドル(数十万円)にすぎず、承認されてから6カ月経ってから始まる。

申し込み、そして承認されるまで、Asteyaの就業不能保険では数分しかかからない、と同社はいう。他の多くのスタートアップと同じく、Asteyaは官僚的しがらみで知られる分野に手間いらずのアプローチを持ち込むことで、保険に人間らしさをもたらす機会を見据えている、とウィリアムソン氏は語った。

一般に女性は就業不能保険の保険料が男性と比べて著しく高いため、企業にとって雇用が高くつくことになり、女性求職者にとって不必要な困難が加わる。ニューヨーク州とマサチューセッツ州は、2019年にそのような保険契約を違法とした数少ない州であり、Asteyaはそれに倣い、最初の商品をジェンダーニュートラルにした、とウィリアムソン氏は語った。

同社はManaging General Agent(MGA、総代理店)および仲介のライセンスを保有しており、このMGAライセンスを通じて、保険契約書はすべて保険大手のMunich Re(ミュンヘン再保険)およびLloyd’s of London(ロイズ・オブ・ロンドン)を経由して発行される。簡単にいえば、もしスタートアップが成功しなくても、あなたの補償は影響を受けない。

ウィリアムソン氏の人脈と創業メンバーを考えれば、開業前に資金を揃えられたこともうなづける。そしてBumbleのファウンダーでCEOのWhitney Wolfe Herd(ホイットニー・ウルフ・ハード)氏は、エンジェル投資家でもある。

調達ラウンドには、他にI2BF Venters、CapitalFactory、Cap Meridian Ventures、Northstar.vc、Atrum、およびエンジェル投資家のGeeta Sankappanavar(ジータ・サンカッパナバー)氏らが参加した。

同社は今後に向けて、長期就業不能者向けの商品や、既往症のある人たちを対象にした商品を計画している。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Asteya保険マイアミ

画像クレジット:Asteya

原文へ

(文:Marcella McCarthy、翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。