マイクロソフトが教育市場向けに安価なノートPC「Surface Laptop SE」とWindows 11 SEを発表

Microsoft(マイクロソフト)は、新型コロナウイルス流行によって変わった「新しい教室の形」に参入を図るため、Windows 11の縮小版と、Surface(サーフェイス)ブランドの他、いくつかの他メーカー製の安価なノートPCを用意した。同社がこの分野で人気の高いGoogleのChromebook(クロームブック)を視野に入れていることは明らかであり、パートナー企業もこれに賭けることにしたようだ。

詳しい紹介に入る前に、まず、このWindows 11 SEの「SE」が、Windows 98 SEの「second edition(第二版)」、iPhone SEの「special edition(特別版)」、Macintosh SEの「system expansion(システム拡張)」などと違い、特に何かを意味するものではないことを確認しておこう。このSEは「HomeやProなどの他のエディションと明確に区別するためのもの」であるとマイクロソフトはいうが、なぜそれがまったく意味のない頭文字ではなく「Students and Educators(学生および教育関係者)」の略だとはっきりいわないのか、私には理解できない(そう、誰かの真似でも問題ないと思うのだが)。

名前の由来はともかく、今回発表された「Surface Laptop SE(サーフェイス・ラップトップSE)」は、マイクロソフトがこの分野で実現したいと考えていることの観念的な形、あるいはリファレンスデザインと言えるかもしれない。これは基本的な機能を備えた250ドル(約2万8000円)のノートPCだが、リモート授業や修理しやすさを考慮して設計されている。

スペックは誰も驚くようなものではないが、これは4K VFXワークステーションではなく、宿題やリモート学習用のマシンを想定しているのだ。いくつか箇条書きにしてみよう。

Intel Celeron N4020またはN4120シリーズ(グラフィック統合型)

  • 4GBまたは8GBのRAM
  • 64GBまたは128GBのeMMC内蔵ストレージ(拡張不可)
  • 720pのウェブカメラ(「改良された顔認識」機能付き)
  • Wi-FiおよびBluetooth
  • USB-A×1、USB-C×1、3.5mmヘッドフォンジャック

USB-Cを充電に使用する機能が欠けているものの(昔ながらの円筒形の電源コネクター用ポートが別に備わる)、この価格のマシンに期待するような仕様としては過不足ない。

画像クレジット:Microsoft

ただし、画面解像度1366 × 768の11.6インチ・ディスプレイは別だ。もちろん、これは子ども向けを想定したものではあるが、それでもこの価格で買えるChromebookには、1080pのスクリーンを搭載する機種があり、文字の鮮明さと動画の質が大きく向上する。どちらもこのようなノートPCに最適化が求められるものだ。

マイクロソフトによると、高級ノートPCに搭載されている強固なキーボードを、このデバイスにも採用しているとのこと。これは良いニュースだ。また、修理性を重視している点も歓迎できる。「ディスプレイ、バッテリー、キーボード、さらにマザーボードまで、重要なコンポーネント現場で簡単に修理することができるため、IT管理者や学校にとって時間とコストの節約になります」と、マイクロソフトは記している。

マイクロソフトの他にも、Acer(エイサー)、ASUS(エイスース)、Dell(デル)、Dynabook(ダイナブック)、富士通、HP、JP-IK、Lenovo(レノボ)、Positivo(ポジティーボ)から、同様のデバイスが販売されるが、これらのマシンはIntelまたはAMDのチップを搭載しており、スペックにも多少の違いがあると思われる。すべてが新製品というわけではない(例えば、すでにDynabookのE10は2021年前半に発売されている)が、新しいOSに適合している。

これらのノートPCに搭載されるWindows 11 SEは、学校が大量に導入しやすいように設計されたOSだ。上述のハードウェアに最適化されており、Microsoft 365をはじめとする一般的なアプリやサービスがあらかじめインストールされているため、迅速かつ簡単にプロビジョニングできる。学校のIT部門だけがアプリの追加や削除をできるようにしたり、ウェブサイトの閲覧も制御できる。自動更新、クラウド管理といった機能も、すべて揃っている。

マイクロソフトのWindows 11 SEは、2つのアプリを横並びに固定できる。画像クレジット:Microsoft

マイクロソフトは発表文の中で、必ずしもすべての学生が自宅のインターネット環境に頼れるわけではないと指摘。そこで同社は、内蔵アプリがインターネットに接続できない環境でも動作するようにした。Microsoft 365アプリはオフラインでも使用でき、OneDriveは変更をローカルに保存しておき、Wi-Fiに接続した時点で自動的に同期する。

マイクロソフトは、主力OSの用途限定的な派生版では悲喜こもごもの思いをしてきた。Windows RTは最も有名な失敗作だったが、11 SEはそれとはまったく異なる。確かに、特定のハードウェアで動作するように作られており、多くの基本機能がロックされているものの、実際にそういうものを求める特定の市場を対象にしている。

かつて一時的に人気を博したネットブックも、ほとんど誰の役にも立たないものではあったが、今では必要最低限のPCとブラウザがあれば多くのことができるようになっている。願わくは、これらの控えめなノートPCが生徒たちの手に渡ることで、リモート学習の現状が少しでも改善されることを期待したい。

画像クレジット:Microsoft

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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