マイノリティ・リポートの世界が来る―パナソニックとPhotonがスマート・デジタルサイネージの実験開始

大企業向けモバイルUI、UXデザインとブランディングの有力企業、Photon Interactiveは日本のパナソニックと提携して、「高度にパーソナル化されたデジタル・サイネージ」を店頭に提供していくという。

プロダクトはPhotonのソフトウェアとパナソニックのディスプレイを組合せたものになる。このスマート・ディスプレイはその前に立つ顧客に関する情報を取得でき、それに基づいてターゲット広告を表示したり、チェックインを行ったり、ショッピングの支払いを処理したりできる。

Photonによれば、実店鋪の店内で、顧客に個人別の割引きセールを表示したり、探している商品がどこにあるか案内したり、ディスプレイに表示あれたバーコードを顧客のモバイル・アプリでスキャンすることによって商品の購入処理をしたりできるようになるという。ファーストフード店やレストランの場合であれば、顧客はこのディスプレイに表示されたメニューのアイテムをカウンターから、または自分のスマートフォンから注文できる。またアイテムに対する感想、意見をフィードバックできる。

このテクノロジーはホテルのチェックインや病院での受付、予約確認、担当医師への案内、処方箋発行などの処理にも応用できるという。

Photonの共同ファウンダー、CTOのMukund Balasubramanianは「Photonは顧客の典型的な行動をテンプレート化することによって企業を助けている」のだという。Photonはさまざまな顧客にデジタル的に接触できる「タッチポイント」をすでに1日あたり6000万箇所持っているという。

つまり簡単にいえば、店頭のデジタルサイネージに個人宛のメッセージが表示されるという、映画マイノリティ・リポートの世界が実現するわけだ。Balasubramanianは「これを実現しようとしているライバルは多い。AppleやGoogleもこのようなビジョンを持っている。しかし実現のカギとなるのはソフトウェアとハードウェアの適切な連携だ。その点でPhotonとパナソニックは理想の結婚だ」と述べた。

パナソニックのグローバル・ソリューションとエンジニアリング担当副社長、Richard Hsuも私の取材に対して「最高のハードウェアと最高のソフトウェアの組み合わせだ」と述べた。

このプロダクトが実際にリリースされる時期について、Balasubramanianは私に「テクノロジーの観点からはすべて準備ができている。いつでもビジネスを開始できる」と語った。

Photonとパナソニックは、少数の初期パートナー(名前を明かすことは避けた)と実際の店頭でテストを行っているところだという。それではPhotongが目指しているとするような広汎な普及までにはしばらく時間がかかりそうだが、ともかくスタートしていることは間違いないようだ。

画像:20th Century Fox/Dreamworks

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


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TechCrunch Japan

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