マクロン大統領「Paris Call」でサイバー犯罪抑止を提唱

フランスのエマニュエル・マクロン大統領はパリのUNESCOで行われたインターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF)で講演した。IGFは設立されてからしばらくたつが、一部で期待されたほどの活動がなかった。

フランス政府がサイバーセキュリティーに関する3ページの文書、Paris Callを発表したのはそれが理由だ。マクロン大統領はIGFを活性化し、各国(および企業)が集まってサイバーセキュリティー問題について意見を一致させるためのサブグループを作りたいと考えている。

「まず、インターネットは今ここで機能している。そしてニュースはサイバー問題で溢れているにも関わらず、われわれはITのツールを盲信している」とマクロン氏は言った。

しかし、彼によると、もし国際コミュニティーが適切な規制に同意できなければ、民主的プロセスの整合性にリスクをもたらす。現在状況は2種類ある、と彼は考えている。独裁的政府はインターネットのリクエストにフィルターをかけ、ウェブをインターネットのサブセットに制限している。一方民主的国家では、誰もが(ほとんど)フィルターされていないウェブを閲覧できる。

「最近のサイバー攻撃は医療システムに侵入することもできる。もしわれわれが、常にシステムがセキュアである確信を持てなければ、システムは空中分解してしまう」

言い換えるとサイバー攻撃は、民主主義国家がネットワークを守るために中国を模倣し、さまざまなウェブサービスをブロックする事態を招きかねない。

「だから私は今日ここへ来て、新しい合議制度を提案する。このフォーラムは議論や講演以上の何かを生み出すべきだ。具体的な決断に役立つ新しい場になるべきだ」とマクロン氏は言った。

彼はIGFを国連事務総長直轄にすることを提案している。さらに彼は、世界の国々と企業、NGOらの間が合意した”Paris Call” も支持している。

すでに数百の組織がParis Callに署名している。ほとんどのEU加盟国、Microsoft、Cisco、Samsung、Seamens、Facebook、Google、ICANN、インターネットソサエティなどだ。しかし、中国と米国はまだ署名していない。

Paris Callの全文はここで読める。Paris Callのメンバーは、あらゆる種類のサイバー攻撃を防止することに概ね一致している——これは和平提案だ。

その内容に関してマクロン氏はウェブに反対ではない。ウェブが民主主義の春を可能にし、気候変動や女性の権利に対する活動を活発化したことに彼は言及した。しかし、今やウェブが過激派のヘイトスピーチ発信に利用されていることも話した。

「巨大プラットフォームはゲートウェイになるだけではなくゲートの番人にもなるべきだ」とマクロン氏は言った。

テロリストのコンテンツやヘイトスピーチを削除することについては過去にもいくつか取り組みがあった。しかしマクロン氏は、さらに一歩踏み込むべきだと考えている。

コンテンツの監視に関するFacebookの取り組みで、Facebookとフランス政府が協力体制を取ろうとしているのはそれが理由だ。

最後にマクロン氏はこの機会を利用して、フランスのデジタル化への取り組みについて再度話した。フランス政府は欧州のIT巨人らに公正に課税する新しい方法の制定に力を入れている。マクロンはこれを小さい企業を不公平な競争から保護するためだと説明した。しかし交渉は今のところ停滞している。

さらにマクロン氏は、人工知能の投資とイノベーションに関する第三の考えも擁護した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook