マネーフォワード、ソフトウェアテストのSHIFTと共同で新サービス――IT業界の資金繰り改善めざす

マネーフォワードのグループ子会社で、企業間後払い決済サービスを提供するMF KESSAIは4月16日、ソフトウェアの品質保証を手がけるSHIFTと業務提携を結び、IT企業向けの債権買い取りサービス「SHIFT KESSAI」を開始すると発表した。

写真左より、MF KESSAI代表取締役の冨山直道氏、SHIFT代表取締役の丹下大氏、マネーフォワード代表取締役の辻庸介氏

MF KESSAIはこれまで、マネーフォワードグループがもつ財務データと取引データをもとに、企業の与信審査、請求書発行、代金回収などの決済業務を一括して代行する企業間の後払い決済サービスを展開してきた。2017年6月のサービスリリース以降、現在までに数百社程度の利用実績があるという。これまで“請求業務と回収リスクからの解放“という価値を提供してきたMF KESSAIは今後、ソフトウェアの品質保証を手がけるSHIFTと手を組み、新たに“早期入金によるキャッシュフロー改善”という新しい価値を提供する。

MF KESSAIが業務提携を結ぶSHIFTは、2005年の創業以来ソフトウェアの品質保証サービスを提供してきた。同社には、クライアントやパートナー企業を含む約2000社分のIT企業の実績データ、開発案件、エンジニアの実績データなどが蓄積されているという。SHIFT KESSAIでは、そのSHIFTがもつデータとマネーフォワードの財務データを組み合わせることで、財務与信に加えてIT企業の開発力の与信も実施。債権買い取りに必要な与信モデルを構築する。そして、ユーザー企業の売掛債権を買い取り、そこから手数料(3〜9%)を引いた金額を通常より早いタイミングで入金する。ユーザー企業は、この早期入金サービスを利用することで人件費などが発生する以前にキャッシュを手元に用意することができる。

SHIFT代表取締役の丹下大氏は、「案件を受注してから例えば6ヶ月後に入金されるとしても、それ以前に人件費などのコストを支払う必要がある。それによって資金繰りが難しくなってしまうが、IT企業は担保に入れる資産がないことが多く、銀行などから融資を受けることも難しい」と、中小のIT企業が抱える資金繰りの難しさについて話す。

新サービスのSHIFT KESSAIは2018年5月より提供開始される予定だ。MF KESSAI代表取締役の冨山直道氏は、「MF KESSAIでは今後、各業界や産業のプラットフォーマーと協業することで、MF KESSAIのサービスを幅広いユーザーに提供していく」と今後の展望について語った。特に、物流、広告制作・運用、人材派遣、農業、漁業などの分野での協業を進めていくという。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。