ミシガン大学の教授が作った配達ロボは低コスト雪道も走る

新しい自律走行配達ロボットの会社Refraction(リフレクション)は7月10日に、ステルスモードでTechCrunchのイベント(TC Sessions:Mobility)に登場した。この会社は、配達ロボットを開発するほとんどのスタートアップが避けているエリアにチャンスを見出している。それは荒天気が多いエリアだ。

ミシガン大学の教授Matthew Johnson-Roberson(マシュー・ジョンソン-ロバーソン)氏とRam Vasudevan(ラム・ヴァスデヴァン)氏によって設立されたこの会社はREV-1という配達ロボを「自律車両ゴルディロックス」と呼んでいる。

この教授2人は自律車両と長い付き合いだ。ジョンソン-ロバーソン氏は2014年のDARPAグランドチャレンジへの参加でスタートを切ったが研究機関で研究を続け、その後ロボティクスを教え始めた。ヴァスデヴァン氏はFord(フォード)で雪や氷の上での自動走行オペレーションのコントロールアルゴリズムにしばらく取り組んだキャリアを持つ。そして2人はミシガン大学のロボティクスプログラムで一緒に働いた。

REV-1は軽量で低コストだ。高価なライダーやセンサーは搭載しておらず、自転車レーンを走行し、雨や雪でも走行するようにデザインされている、と共同創業者でCEOであるジョンソン-ロバーソン氏はTechCrunchに対し語った。

イベントが開催されたサンノゼのCalifornia Theaterのステージでデビューを果たしたこのロボットは、おおよそ電動自転車のサイズだ。REV-1の重さは100ポンド(約45kg)ほどで、高さは5フィート(約1.5m)、長さは4.5フィート(約1.4m)。ロボットのボックスの中の容量は16立方フィート(約1.5平方m)で、食料雑貨のバッグ5つを入れるには十分だ。

このロボットの走行はそんなに速いわけではなく、最高スピードは時速15マイル(約24km)だ。しかし自転車レーンの走行を想定しているのでそんなに速くある必要はない。ややゆっくりめのスピードと軽量のデザインにより、停止にかかる距離は5フィート(約1.5m)ほどだ。

RefractionはeLab VenturesとTrucks Venture Capitalから支援を受けている。

「消費者は注文したものがすぐさま配達されることを期待している。しかし企業の方は、こうした需要に応えられる確実で経済的な手法を確保しようともがいている」とeLab Venturesの専務取締役のBob Stefanski(ボブ・ステファンスキ)氏は語った。

ステファンスキ氏は、Refractionのたくましく小ぶりの配達ロボットは、歩道を走行する他の配達ロボよりも広範をカバーできると考えている。

「彼らの配達ロボは、自動運転の車や大型のロボットよりも安全に展開できるほど軽量だ」とステファンスキ氏は加えた。「マーケットは巨大で、特に人口密度の高いエリアで需要がある」。REV-1は主要センサーシステムとして12個のカメラのシステムを搭載し、さらに安全を確保するためにレーダーと超音波のセンサーも活用している。

「10ドルの食品を届けるのに1万ドルのライダーを使うというのは経済性の観点からおかしい」とジョンソン-ロバーソン氏は語った。高価なライダーセンサーを使用しないことで、この配達ロボの価格は5000ドルに抑えられている。

Refractionの初の応用は地元のレストランとの提携のもとに行う。同社は今後6カ月以内にさらに大きな企業と提携を考えているが、そうしたパートナー企業は、多くの自律車両の企業がテストを行っている南西部やカリフォルニアではない。

「他の企業はここ(ミシガン)の冬で走行させようとはしていない。他社が解決しようと取り組んでいる問題とは異なるものであり、これが需要を取り込むチャンスにつながることを期待している」とジョンソン-ロバーソン氏は語った。

イメージクレジット: Refraction

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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