ミュートがTwitterをつまらなくする

Twitterに初めてはまった時のことを覚えている。2008年にオレゴン州ポートランドでClicky Web Analyticsの男と一緒に、TechCrunchカンファレンスのライブストリームをソファで見ていた。Twitterには、前年の夏、Brass Magazineでインターンをしていた時に入ったが、殆ど興味がなかった。

あの日カンファレンスで起きていることに関して、私がとめどなく書き続けた意見を、個別にではなく自分をフォローしている人たち〈全員〉が見てくれていることに気付いた時、私ははまった。あの8人のフォロワーたちは喜んでくれたに違いない。違うかもしれないが。

今日(米国時間5/12)Twitterは、フォローしている人の発言を表示しないミュート機能を提供開始した。これは、誰かをフォローして、自分にDMを送る権利は与えるが、その人の発言は読まないことができる、という意味だ。

私の直感的反応は、これでTwitterはつまらなくなるだろう。これまでは、誰かに消えて欲しければ、ブロックするかアンフォローするという決断を下さなくならなかった。デジタルな関係から半分逃がれようとしたことがバレる、「予期しない」アンフォローの物語はTwitterに数多ある。これからは、罰を受けることなく関係を半分断つことができる。

もはやわれわれは「フォロー返し」の世界には住んでいないが(ありがたい)、以前は誰かをフォローすることは、まさしくそういう意味だった ― 思想、批判、悪い冗談、リンクの一式を受け入れる。プロフィール画面の「あなたをフォロー中」表示には意味があった。これからは違う。

フォロワー数は無意味になった。そして、何らかの理由で誰かをフォローしてその全フィードを受け取る代わりに、これからは社会的慣例としてDMの権利は与えるが、面倒や不愉快や退屈なメッセージを見ないことか可能になる。これによって、よりよい情報が得られるようになったり、より面白くなるとは思えない。

私にはリスクがある。私はTwitterの中でうるさい方の人間だからであり、そのことを自覚している。しかし、友達との間にはルールがあった。私をフォローしなくても全く問題ない、なぜならバカみたいにうるさいから。フォローされなくても怒らない。このルールは気に入っていた。えせフォローには何の意味もない。自分にもお互いにも嘘をつくことになる。

実生活で尊敬している人が、Twitterで自分をフォローしていることに気付き、あなたは一日中ヘビーメタルのジョークばかりツイートしていた時、ちょっとしたパニックを起こす瞬間がある。しかし、選んだのは先方だから、全部を見られるのは仕方がない。誰かをミュートすることはアンフォローするよりも簡単なので、みんな前ほど自由にツイートしなくなるのではないだろうか。これまでアンフォローはしなかった相手からミュートされることを心配して。

これからは、誰かが自分を本当にフォローしたいのか、単なる儀礼なのか、政治的なのか、他の理由なのか知ることはできない。フォローの正直さがなくなり、よってTwitterが私たちの中に生じさせていた正直さもなくなる。

ミュート結構。しかし、もう昔のTwitterか懐しい。

IMAGE BY FLICKR USER Grey World UNDER CC BY 2.0 LICENSE (IMAGE HAS BEEN CROPPED) 

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


投稿者:

TechCrunch Japan

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