ミレニアル世代の共働き夫婦向け、家計簿・貯金アプリ「OsidOri」が5500万円の資金調達

夫婦向けに特化したお金の管理・貯金アプリの「OsidOri(オシドリ)」を提供するOsidOriは10月3日、ワールド・モード・ホールディングス、京銀輝く未来応援ファンド2号投資事業有限責任組合、インフキュリオン・グループ、グロービス・ベンチャー・チャレンジ2号ファンド、そして匿名の個人投資家を引受先とした第三者割当増資、ならびに複数の金融機関からの融資により、合計で5500万円の資金を調達したことを発表した。これにより、2018年6月に創業したOsidOriの累計調達額は1億円となった。

8月23日にリリースされたOsidOriは「共働き夫婦」の利用に最適化されたお金の管理・貯金アプリ。口座の入出金やクレジットカードの支出が自動的に反映される。

後述の3つの機能が特徴的だ。1、「家族のお金」と「個人のお金」を1つのアプリで管理。家族のお金の管理の画面は夫婦2人でシェアする形となるが、個人のお金は自分の専用画面で管理することになる。2、夫婦間でのお金のやりとりを簡単にできる。払った家賃や光熱費など、シェアしたい分を選びスワイプすることで共有することが可能。3、「家族貯金」。家族旅行、教育費用などの目標貯金を、夫婦一緒に始められる。

OsidOri取締役COO/CMOの中山知則氏いわく、「女性の社会進出や産後の社会復帰などが広がり、今や共働きは全夫婦の2/3以上の2400万人を超えている」といった社会的な背景があり、OsidOriの開発に至った。

そして同社いわく、ミレニアル世代の共働き夫婦のお金に関するルールは多くの場合ダブルインカムのため「お小遣い制」でなく「分担制」であることが多い。「共通口座にお金を入れあう」「家賃や食費等の費目を担当制にする」といったケースが多いそうだ。だが、いわゆる家計簿アプリは1人用であるがゆえに、夫婦で利用すると個々人の購買情報のプライバシーが守られない、という課題があった。加えて、家族分の領収書を月末に清算する手間を解消したり、夫婦が別々に貯金をしている際に生じる資産形成の不安を解消するのがOsidOriだ。

OsidOriのミッションは「誰もがお金に困らず、生きたい人生を歩める世界をつくる」。代表取締役CEO宮本敬史氏は自身の原体験を以下のように説明する。

「金融キャリアが長いこともあり、私は、銀行口座はもちろんのこと、証券、投資信託、ロボアド、クラウドファンディング、ソーシャルレンディング、そして仮想通貨といった、多種多様な金融サービスを利用し、資産は各サービスに分散していました。

一方、私の家族はまだ子供が小さく社会復帰できていない妻がおり、仮に私に万が一のことがあったら、これらの分散した資産は間違いなく忘れ去られるのではないか、と考えました。相続の際の手続きは手間も時間もかかりますが、それは口座を特定できている場合で、そもそも特定すること自体が難しいのではないかと(実際には確定申告の情報や、配偶者との記憶などをもとに探すようです)。

その時に私の脳裏に浮かんだのは、新卒で入社した信販会社の回収業務で、ご契約者様と接した際の経験でした。離婚をされた母子家庭のお母さんが、小さな子供がいるため満足に仕事ができず(子供が小さかったり、また複数いらっしゃると、正社員として働くのが基本的には難しくなるため)、生活資金に困り、それを借金で賄うなどして負のスパイラルに陥っていく、そんな家庭を多く見てきました。

私は、家族に何かあっても残された人がお金で苦労することをなくしたい、その思いから、家族のお金のシェアリングサービスを展開しようと考えたのが原点です」(宮本氏)。

調達した資金をもとに、OsidOriはアプリの機能強化や改善を急ぐとともに、銀行などの金融機関をはじめとした法人向けに提供するサービスの開発も進めていく予定だ。

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TechCrunch Japan

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