メアリ・ミーカー、恒例のインターネット・トレンドを発表――全スライドと重要ポイント要約

テクノロジー分野の最新の数字を漏れなく知っておきたいなら朗報だ。伝説のアナリスト、ベンチャー投資家、 メアリー・ミーカーがInternet Trendsの2018年版を発表した。記事末に294ページに及ぶスライド全体をエンベッドしてある。モバイルからeコマースまであらゆるジャンルがカバーされている。ここでは特に重要と思われる点を選んで要約してみた。

  • Internetの普及: 2018年には世界の人口の半数、約36億人がインターネットにアクセス可能になる。これをもたらした大きな要因は安価なAndroidスマートフォンとWifiだ。ただしインターネットの普及が飽和点に近づくにつれ、個々のサービスは新たなユーザーを獲得することが困難になるものと予想される。
  • モバイル利用状況:インターネット・ユーザー数の増加率が低下するとともにスマートフォンの出荷は頭打ちとなった。一方、モバイルの普及によりアメリカの成人がオンラインで過ごす時間は増えている。 2016年には1日あたり平均5.6時間だったものが、 2017年には5.9時間に増加した。
  • モバイル広告: 消費者がモバイルにシフトするスピードは速く、広告費はそれに追いついていない。モバイル利用時間に広告費が比例するためにはさらに70億ドルの支出が必要。各プラットフォームはコンテンツの選別を次第に強め、内容が安全と認められるページに出広する傾向にある。
  • 暗号化:オンラインの暗号通貨はブームを巻き起こしている。Coinbaseのユーザー数は2017年1月以来4倍に増えた。
  • 音声: 音声テクノロジーがいよいよブレークした。音声認識の精度が95%を超えた。また2017年にはAmazon Echoの販売台数累計も1000万台から3000万台に増加した。
  • 1日あたり利用状況: Facebookなどのサービスの売上は1日あたりユーザー数の増加に強く結びついている。つまりユーザーがそのサービスの利用を習慣化するかどうかが収益性のカギとなる。
  • テクノロジー投資: 上場、非上場企業ともテクノロジー投資は過去最高を記録している。上場企業におけるR&D投資プラス資本的支出のトップ6社はすべてテクノロジー企業だった。

写真はMorgan Stanleyのアナリスト当時のメアリー・ミーカー。サンフランシスコで 2010年11月16日に開催されたWeb 2.0 Summitで講演中のもの。現在ミーカーはベンチャーキャピタル、KPCBのパートナーで、今年も11月17日に講演の予定。タイトルは「コントロール・ポイント:ネットワーク経済をめぐる戦い」。撮影:Tony Avelar/Bloomberg/ Getty Images

  • eコマース対現実店舗:eコマースの成長は加速し、全リテール支出の13%を占めるまでになった。オンライン・ショッピングと商品の発送数は急増しており、ショッピング・アプリにはビッグチャンスとなっている。
  • Amazon:ますます多くの消費者が検索エンジンよりむしろAmazonで商品の検索を行うようになった。AmazonのCEO、ジェフ・ベゾスは依然としてFacebookやYouTubeで消費者の購買意欲をかきたてる努力を続けている。
  • サブスクリプション・サービス:契約者数は急増している。2017年には対前年比でNetflixは25%、New York Timesは43%、Spotifyは48%それぞれアップした。フリーミアム・モデルは有料契約へのコンバージョンを加速する効果がある。
  • 教育: 学資ローンの返済額が急上昇するにつれ、雇用者は企業が必要とする新しい能力を学ぶためYouTubeや各種のオンライン・コースを利用する傾向を強めている。
  • フリーランス化:雇用者は在宅勤務を含めて柔軟性の高い労働時間を強く求めるようになった。またインターネットを利用したフリーランス雇用は全雇用の3倍の伸び率を示している。2017年にオンデマンド労働は23%増加した。これはUber、Airbnb、Etsy、Upwork、Doordashなどのサービスの成長によるところが大きい。
  • 運輸交通:自動車の購入台数は減少傾向にあり、長く乗るようになった。交通関連への支出はUberなどライドシェア・サービスにシフトしている。2017年にはライドシェアへの支出は倍増している。
  • エンタープライズ: エンタープライズ向けサービスがより良いインターフェイスを得てコンシューマ・アプリ化している。DropboxとSlackが.このような急成長の代表的な例。
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  • 中国: 中国のユーザーはアメリカと比較してプライバシーと交換に利便性を獲得することをためらわない傾向がある。 これは中国企業の競争力を高めており、インターネット企業のトップ20にますます多くの中国企業が加わる結果を生んでいる。またこれらの企業はAIに巨額の投資を行っている。
  • 中国のeコマース: Alibabaが商圏を中国の外に急拡大している。売上では依然Amazonがリード。
  • 移民:アメリカのトップ企業の56%は移民1世または2世によって創立されており、経済成長にとって決定的に重要な要因となっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

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TechCrunch Japan

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