メアリー・ミーカーら、12.5億ドルの独自ファンド組成へ――「インターネットの女王」がトップの新VC誕生間近

インターネットの現状を網羅的に紹介するレポートを毎年発表して「インターネットの女王」とも呼ばれてきた著名投資家のメアリー・ミーカーが8年間パートナーを務めてきたKleiner Perkinsを去って独自のファンドの組成を目指すという。9月のBusiness Insiderの記事によれば、メアリー・ミーカーのデビュー・ファンドは12.5億ドルの規模となる。

TechCrunchはメアリー・ミーカーにさらに詳しい情報を求めている。

Recodeの記事でメアリー・ミーカーは3人のKleiner Perkinsの同僚と共に後期ステージのスタートアップ向けの新しいベンチャーキャピタルを創立すると語っている。メアリー・ミーカーと行動を共にするのは、2014年にKleiner Perkinsにジェネラル・パートナーとして加わったMood Rowghani、 2016年にジェネラルパートナーとして加わったNoah Knauf、18年前からシニア・パートナーを務めるJuliet de Baubignyだ。

Recodeによれば、これらのパートナーはKleiner Perkins (以前のKPCB)との方針の相違が深まるにつれ、独自のグロース・ファンドを組成することを検討するようになったようだ。

Kleiner Perkinsにとっては、少なくとも短期的にはメアリー・ミーカーらの離脱は痛手となるだろう。Kleiner PerkinsはSocial CapitalのMamoon Hamid、Index VenturesのIlya Fushmanら著名な投資家を迎えてアーリー・ステージの投資を強化中だが、メアリー・ミーカーが去れば経営陣に女性が一人もいなくなる。

メアリー・ミーカーがde BaubignyらとKleiner Perkinsを去ることを発表する数ヶ月前、Kleiner Perkisでバイオテクノロジー投資担当のジェネラル・パートナーを務めてきたBeth Seidenbergが同社を去って独自のファンドを組成している

さらに同社でこの5年以上、ヘルスケア・スタートアップへの投資を担当していたLynne Chou-O’Keefeがやはり 独自ファンドの組成に成功したことをわれわれは報じた。SEC( 証券取引委員会)への提出書類によれば新しいベンチャーキャピタルはDefine Venturesという名称で、投資家からすでに5000万ドルの出資確約を得ているという。

ベンチャー・キャピタルのすべてが経営陣に女性を擁するわけではないものの、これらの女性投資家の離脱によってKleinerでは男性優位の傾向が目立つ結果となった。2012年には元パートナーのEllen Paoによって女性差別があるとして訴えられたことがある。この訴えは棄却されたものの、裁判で明らかになった事実からKleiner Perkinsに対する批判が高まった。

メアリー・ミーカーはKleiner Perkinsに加わる前はMorgan Stanleyに19年勤務し、グローバル・テクノロジー・リサーチ部門の責任者となっていた。Paoの訴訟ではKleiner側を弁護してベンチャーキャピタル業界で女性が働くには最良の場所と述べている。Kleiner Perkinsでもっとも有名なベンチャー投資家で、自らメアリー・ミーカーをスカウトしたJohn Doerrは2016年に日々の業務を引退している

メアリー・ミーカーと同士が目標とする12.5億ドル以上の資金確保に成功するなら(実際、現在の資金市場を考えれば成功する可能性が高い)、女性が責任者を務めるベンチャーキャピタルとして最大のものになる。

もちろんメアリー・ミーカーらにとってこのクラスのファンドを組成するのは初めての経験ではない。Kleinerは2016年に1億ドルのグロース・ファンドを組成しており、長年パートナーを務めてきたメアリー・ミーカー、Rowghani、Knauf、Ted Schleinがファンドの組成を指導していた。

Kleinerの最近アーリー・ステージ・ファンドは2016年の7回目のファンドで4億ドルの出資確約を得ている。

〔日本版〕写真は左からKnauf, de Baubigny、ミーカー、Rowghani

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滑川海彦@Facebook Google+

投稿者:

TechCrunch Japan

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