メニューはわずか数種類 ― マレーシアのフードデリバリー「Dah Makan」が1300万ドルを調達

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東南アジアのフードデリバリー企業として今年初めて大型の資金調達を果たしたのは、Dah Makanとなった。同国の投資家から浴びていた批判を跳ね返したかたちだ。

Dah Makanは現地時間19日、シードラウンドでNFQ Capital、East Ventures、Asia Venture Group、Gruparaなどから1300万ドルを調達した。Nestléの前CEOもエンジェル投資家として本調達ラウンドに参加している。

Dah Makan(現地の言葉で「もうご飯は食べた?」)は、2年前にクアラルンプールで生まれたサービスだ。どうサービスはアジアにおける「フルスタック」サービスの1つであり、業務のすべて(調理、配送、支払いなど)を自社で行っている。これは、創業初期のフード系サービスとしてはめずらしいことだ。Rocket InternetのFoodPandaは、地域のレストランと共同でビジネスを行い、レストランと顧客を結びつける大きな役割を果たしている。しかし、プロセスの中に外部関係者を多く含めれば含めるほど、プロセス全体の複雑性と不確実性が増す可能性がある。FoodPandaはサードパーティにプロダクトのクオリティ管理や配送を委託しているにもかかわらず、ユーザーの期待に応えるサービスではあるだろう。一方で、その同類のDah Makanは、サービスとシステムの管理がしやすい体制を整えている。

例えば、Dah Makanはランチとディナーのあらかじめ決められた時間にしか配送を行なわない。そして、その時間の45分前に注文された分だけを受け付ける。顧客にとってはかなり制限のあるサービスだということだ(ランチとディナーのメニューは日ごとに決められた数種類の料理しかなく、ビッグブランドの料理は取り扱っていない)。しかし、そのトレードオフによってDah Makanは徹底的なプロダクト管理を可能にしている。

配達ルートも最適化されている。注文が入るごとに配達用のバイクを送り出すのではなく、Dah Makanはその日の注文数と顧客の位置情報をもとに最適化された配達ルートを計算する。Dah Makanにとって、これは金銭的なメリットにもつながる。従来のフードデリバリーサービスでは、ある注文が利益を生む一方で、またある注文では損失を生むというのが一般的だった。しかし、同社のサービスではすべての注文から利益を得ることができると彼らは話している ― ただし、マーケティングや給与などのコストはユニットごとの損益計算にはもちろん含まれてはいない。

Dah Makanでは1回かぎりの注文をすることもできるが、同社は顧客に会員オプションに加入することを奨励している。彼らの会員サービスは固定されたプランというよりも、どちらかというとポイント制プランのようなものだ。99MYR(22ドル20セント)で5回、379MYR(85ドル)で20回、999MYR(225ドル)で50回分の注文をすることができる。しかし、ユーザーが数日のあいだ街を離れていたり、その日のメニューが気に入らない場合は、そのポイントを後々のためにとっておくことが可能だ。

同社のファウンダーたちはTechCrunchの取材に対して、会員制サービス「Dah Makan Prime」からの収益が「大半を占めている」と話している。

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Dah MakanとFoodPandaのサービスが似ているので、Dah Makanの共同創業者たちが元FoodPandaの従業員だったと言われてもそこまで驚かなかった。Dah Makan CEOのJonathan Weins氏とCOOのJessica Li氏は、2014年に同社のアイデアを考えつくまではFoodPandaの香港チームに所属していた。そして、後にCTOのChristian Edelmann氏が加わったことでアイデアが現実化した。

Weins氏は「フードデリバリーをもっと手軽な価格で提供し、もっと便利なサービスにしたかった」と語る。

Dah Makanは現在、1日あたり1000件の注文を獲得しているという。しかし、同社はマレーシア全土にビジネスを拡大するつもりはない。その代わり、彼らは今年のおわりまでに他の東南アジア諸国へと海外展開を進める予定だ。

「今回調達した資金はクアラルンプールに投下する予定です。この市場は非常に大きいからです。この市場にはまだ、私たちがリーチできる潜在顧客がたくさんいます」とWeins氏は説明する。彼によれば、クアラルンプールでリーチ可能な潜在顧客は約600万人だという。

「テクノロジーにも大きく投資していきます。ルーティングやクラスタリング、そしてドライバーの配送場所を決める機械学習などがその例です」と彼は加えた。

同社は「今年末をめどに」シリーズAの調達ラウンドも実施する予定だ。その資金を利用することで、人口密度、現地の購買力、競合関係などのファクターを考慮しながら海外展開を進めていくという。そうなれば、シンガポールのGrainなど、他の「フルスタック」フードデリバリー企業と直接的に競合する可能性が非常に高い。

Grainと同じように、人々がヘルシーな食べ物や利便性にどれだけ魅力を感じるのか、そして彼らがFoodPandaのメニューにあるようなビッグネーム企業の食べ物にどれだけ飽き飽きしているのか、という点が勝負の分かれ目となるだろう。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

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TechCrunch Japan

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