モバイルのショッピングアプリを展開するWishが、Android用ロック画面アプリを製作するLocketを買収

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モバイルでのショッピング体験を提供するスタートアップのWish調達したばかりの5億ドルで最初の企業買収を行った。Wishは、Android端末用にロック画面アプリを製作するスタートアップLocketを買収した。社名と同じ名前のLocketアプリは、ロック画面に選別したニュースを届ける。また、同社が製作した別のアプリ、ScreenPopはロック画面用のメッセージアプリだ。

買収内容の詳細は開示されていない。FacebookやYahooといった企業もLocketにアプローチしていたという話も聞かれていた。

(Facebook、Yahooの両社とも既にロック画面の分野で企業買収を行った。FacebookはCoverを、YahooはAviateを買収している。「両社ともこの分野の可能性に大金を賭けようとしている」と情報筋は話した。)

LocketはGreat Oaks、Turner Broadcasting、Tyra Banksといった投資家から320万ドルを調達していた。

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Locketの共同ファウンダーの1人Yunha Kimは、Wishのグロース担当として参画することが決まった。Locketには7名が働いていて、Kaushik PendurthiとPaul Jangも共同ファウンダーだ。彼らがWishに参加するかどうかはまだ決まっていない。

だがLocketアプリの進退は決まっている。Kimは、LocketもScreenPopもWishの広範なビジネスの一部に2通りの方法で統合されると話した。

1つ目の方法は、Wishで販売されている商品や他のポートフォリオ内のアプリ、Geek (ガジェット)、Mama (育児)、Cute(美容)とScreamPrice(セール情報)の情報が来週からLocketとScreenPopに表示される。

Locketアプリにマーケティングの方法として広告が投入されるのは、今回が初めてのことではない。

Kimが投資銀行での職を去り、Locketの共同創業に至ったのは、持っていたSamsung Galaxy端末のそっけない青い画面が気に入らなかったからだ。製作したアプリは今よりビジネス寄りの要素が強かった。コンテンツに広告が加わり、左にスワイプするとロックが解除されるが、広告を見るために右にスワイプするとユーザーは多少のお金を手に入れることができる仕組みだった。

2つ目の方法として、Wishやその他のショッピングアプリにLocketが開発したデザインやネイティブのコンテンツのテクノロジーが統合される。

「Locketで開発したテクノロジーのいくつかはWishの持ついくつかのアプリの役に立つでしょう」とKimはインタービューで答えた。「Locketのコンテンツのレコメンド機能は、Wishが商品をレコメンドする機能とは異なります」と話した。Wishは、データサイエンスに重点を置く組織で、データを主軸にプラットフォームのレコメンドエンジンの構築に力を入れている。一方、Locketはユーザーエクスペリエンスを重視しているため、Locketのロック画面はWishを補佐するのに最適だと説明した。

Wishは2011年に創業し、モバイルファーストのアプローチでショッピング体験を提供したことで多くの成功を手にすることができた。現在、同社は1億ユーザーを抱え、ユーザーは平均30分間サイトに滞在しているという。

AmazonやeBayのような巨大なeコマースのポータルのように、Wishは異なる店が多数出店して商品を販売するマーケットプレイスのプラットフォームという立ち位置だ。Wishが他の企業と違うのは、ユーザーがモバイルで閲覧することを考慮している点だ。例えば、商品は素早く簡単にスクロールして閲覧することができ、Wishはユーザーに少量でも探している物とより関連する商品をレコメンドするための機能の開発にも力を入れている。

また、Wishは、興味関心という軸にも注意を払っている。例えば、特定のカテゴリやデモグラフィック専用の個別のアプリを製作しているのも、その軸に重きを置いている表れだ。

同社が投資家を惹きつけることができたのも、勝利への方程式と言えるだろう。私たちは6月にDSTが牽引したラウンドで、Wishが30億ドルの評価を得て、5億ドルの資金調達を達成したことを報じた。だが、同社はこれらの具体的な数字について公表していない。初期の支援者には、Jerry Yang、Founders Fund、Jared Let、Formation 8や他にも複数の投資家がいた。

同社はこれまで累計で5億8000万ドルを調達したことになり、それは今後の開発のための軍資金となるだろう。

「Locketは最初の買収案件ですが、壮大な計画は続いています」とKimは話した。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

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TechCrunch Japan

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