モバイルゲーム会社Voodooがテーブルトップゲームやカードゲーム専門のBeach Bumを買収

フランスのスマートフォン向けゲーム会社であるVoodoo(ヴードゥー)が、カジュアルなモバイルゲーム市場における重要な買収を行った。同社は、イスラエルに拠点を置くゲームスタジオで、テーブルトップゲームやカードゲームを専門とするBeach Bum(ビーチ・バム)を買収すると発表した。

この買収では、Voodooは現金と株式の両方を提供し、リテンションボーナスも支払われるため、取引額について明確な数字を得ることは難しい。ある関係者によると、Voodooは総額で数億ドル(数百億円)を支払う可能性があるとのこと。Beach Bumが過去12カ月に7000万ドル(約77億7000万円)の収益を上げていることを考えれば、この取引の規模を察することはできるだろう。

Voodooは「Helix Jump」「Crowd City」「Hole.io」「Paper.io 2」などの、いわゆるハイパーカジュアルゲームでよく知られている。同社はゲーム開発会社であると同時に、パブリッシャーでもあり、他のゲームスタジオと提携して、配信やユーザー1人当たりの平均収益などを最適化する技術スタックを構築している。

これまでにVoodooは、Tencent(テンセント)やGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)から資金を調達している。最近では、Groupe Bruxelles Lambert(グループ・ブリュッセル・ランバート)が2億6600万ユーロ(約343億円)をVoodooに出資した。これにより同社の評価額は17億ユーロ(約2200億円)となっている。

Voodooは時間を無駄にすることなく、新たな資本を調達した直後から、外部成長の機会として買収対象を検討し始めていた。現時点における同社の従業員数は350名。Beach Bumで働く150名がそれに加わることになる。

米国時間9月30日に発表されたこの買収により、Voodooはそのハイパーカジュアルゲームのカタログに、いくつかのカジュアルゲームを加え、新たなセグメントに拡大することになる。Beach Bumは現在、App Storeで「Backgammon – Lord of the Board」「Spades Royale」「Gin Rummy Stars」という3つのゲームを配信している。

両社では、ビジネスモデルも少々異なる。歴史的に見て、Voodooはゲームの収益化をほとんど広告に頼ってきた。その一方で、Beach Bumは代わりにアプリ内課金に重点を置いている。このように、今回の買収は、Voodooの収益源を多様化させることになる。

「(Beach Bumは)今、さらに2つのゲームを開発中です。Voodooの意向は、Beach Bumをアプリ内課金への入り口にすることです。だからBeach Bumには、できるだけ多くのゲームを出してもらいたいと、彼らは考えているはずです」と、Beach Bum共同設立者の1人であるGigi Levy-Weiss(ジジ・レヴィ・ワイス)氏は筆者に語った。

レヴィ・ワイス氏は、VC会社であるNFXのゼネラルパートナーで、2015年にBeach Bumを共同設立した。同氏は現在、Beach Bumで運営上の役職には就いていないものの、取締役会の会長を務めている。

「イスラエルのゲーム業界は、ここ数年で大きく成長を遂げ、現在までに400社を数えるまでになりました。主に欧州やアジアのバイヤーによって、いくつかのイグジットが起きています。数カ月前には、イスラエルのゲーム会社であるPlaytika(プレイティカ)が110億ドル(約1兆2200億円)の評価額でNASDAQ(NASDAQ)にIPOしました」と、テルアビブを拠点とするシニア投資銀行家のAvihai Michaeli(アヴィハイ・マイケリ)氏は、筆者に話してくれた。

画像クレジット:James Yarema / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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