モバイルファーストのWebサイトビルダーStrikinglyが創業5年後にシリーズAで$6Mを調達

Strikinglyを使って作ったWebサイト

創業から5年を経た、Y Combinator出身のWebサイト制作プラットホームStrikinglyが、ついにシリーズAの資金調達をすることになった。同社の発表によると、CAS Holding, Infinity Venture Partners, Innovation Works, Y Combinatorの元パートナーKevin Hale, そしてTEECらからの600万ドルのラウンドを完了し、さらに、途上国市場での成長を目指して、モバイルデバイスのみでWebサイトの制作と公開ができるアプリを最近ローンチした。

協同ファウンダーでCEOのDavid Chenによると、新たな資金は新たなユーザー獲得とプラットホームの機能拡張に充てられる。同社がシリーズAの資金調達を5年待ったのは、2012年の創業から2か月後に早くも黒字になったからだ。最初それは、かろうじて生活できるだけの、いわゆる“ラーメン屋の黒字(ramen profitability)”だったが、チーフプロダクトオフィサーのTeng Baoと、CTOのDafeng Guoを含む三名の創業メンバーを支えるには十分だった。2013年にはY Combinatorの冬季学期を受講し、そして今では世界の200か国にユーザーが存在するまでになった。

今Strikinglyは、これまでよりもっと積極的になり、東南アジアやラテンアメリカ、アフリカなどの途上国市場の成長機会を捉えていきたい、と考えている。すでに社員数は今年初めに比べて倍増の150名となり、新入社員の多くが製品開発のチームに配属されている。Strikinglyの顧客の約半数は個人のWebサイトを作るためにこのプラットホームを利用しているが、クライアントのためにサイトを作っているフリーランサーやデザイン工房なども少なくない。そこで同社は最近、そういう人たちのための再販事業を立ち上げた。

“全体的にきわめて順調だと思うけど、これからの本格的な成長のためには、うちの企業文化とメインの製品系列をもっと強化する必要がある”、とChenは述べる。

今度の資金の一部は、モバイルエディターの機能増強に使われる。東南アジアなどのモバイルファーストの市場で多くの顧客を獲得していくためには、ツールのアップグレードが重要だ。Chenによると、そのエディターはデスクトップエディターのモバイルバージョンではなく、最初からモバイル専用のエディターとして設計された。だからユーザーはスマートフォンだけを使って、自分のアカウントを管理し、サイトを作り、それを公開できる。

“最初のうちは、モバイルエディターを作れという助言に耳を貸さなかった。Webサイトを作るのはPCの方がずっとやりやすい、と確信していたからだ”、とChenは語る。“でもそのときには、PCなんか持ってない人の方が圧倒的に多いことに、気づいていなかった。実は当時から、スマートフォンの上だけでStrikinglyを使うユーザーが多かったのだ”。

2012年に同社がローンチしたときには、Strikinglyは初めてのモバイル対応のWebサイトビルダーだった。その後スマートフォンの普及に伴って多くの企業が同様の製品を提供するようになり、開発経験のない人びとでも比較的簡単に、モバイルフレンドリーなサイトを作れるようになった。今ではWix, Weebly, Squarespace, WordPressなどがStrikinglyの主な競合相手だ。

Chenによると、Strikinglyの主な差別化要因はそのまま、その主要な価値命題でもある。たった一つのランディングページからすべてが始まり、そこからeコマースのツールやブログ、モバイルアプリなどの主要な機能部位へ分岐していく。Strikinglyは起業家やスタートアップ、それにクリエイティブ分野のプロフェッショナルたちをターゲットとし、クライアントのビジネスの成長に合わせて機能やサービスを高度化していく。顧客の定着率は90%だそうだから、Strikinglyの戦略は成功しているようだ。今ではユーザーの96%が、友だちにStrikinglyを勧めているそうだ。

“これまでの5年間は、ユーザーと一緒に成長してきた”、とChenは語る。“小さなビジネスを始めた人が成長して会社っぽくなってくると、eコマースなどの高度な機能を要望してくる。そうやってユーザーとの二人三脚で、パワーユーザーのためのプロダクトを開発してきたのだ”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

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TechCrunch Japan

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