モバイル・インターネットのビジネス規模は2018年には3倍に―Appleの時価総額さえ抜く

2015-05-28-mobileinteretbusiness

編集部:この記事はモバイル・インターネットのコンサルティング企業Digi-Capitalのマネージング・ディレクター、Tim Merelの寄稿。

われわれDigi-Capitalの予測では、世界のモバイル・インターネットの売上は現在の3000億ドルから2018年には8500億ドルとその3倍近くに成長する。Appleが開拓したこの市場は、Apple自身の現在の時価総額をも上回ることになるだろう。

すでに巨大なスケールとなっているものの、モバイル・インターネットはまだ急成長中だ。その成長の主要な原動力はmコマースだ。そのためベンチャーキャピタリスはこの1年間でmコマース関連のビジネスに410億ドルもの投資を行っている。2018年にはモバイル広告が有料アプリを抜いて3位から2位に躍進するだろう。モバイル・アプリのデベロッパーもこうしたトレンドを考慮に入れて新たなビジネス戦略を立てる必要がある。

エンタープライズのモバイル化も引き続き進行するが、コンシューマー市場ほど急激には成長しないだろう。またAppleウォッチはウェエラブル・デバイスの市場の立ち上げと普及に大きな役割を果たすだろう。

Mobile internet revenue forecast

mコマースはアジアが主導

mコマースこそモバイル・インターネットの王者だ。昨年の売上は2000億ドルを記録している。

アジアのmコマース売上は2014年にアメリカをわずかに抜いたが、2018年にはアジアが6000億ドルと予測される全売上の半分近くを占めることになると予測される。アジア地域では1人あたりの売上ではアメリカに及ばないものの、この地域の巨大な人口と中産階級の勃興が全体としてアメリカを圧倒する結果となっている。

AlibabaFlipkartなどの急成長がmコマースがもはやAmazonとeBayだけのものでないことを実証している。リアル店舗の大手小売業もmコマースに参入しつつある。Wanda E-commerceは小売業のDalian WandaとTencent、Baiduの合弁事業だが、設立後わずか4ヶ月で、まだ事業開始前だというのに時価総額が30億ドルとなった。

mCommerce revenue forecast

モバイル版マッドメン

昨年、モバイル広告は有料アプリの売上に及ばなかったが、Facebookを筆頭にモバイル広告を強化する動きが出てきた。

モバイル広告は2018年には全売上の1割、850億ドルに成長するだろう。mコマースより成長率は大きく、有料アプリ(本体およびアプリ内コンテンツ販売)の売上を追い越して2位に浮上するというのがわれわれの予測だ。アジアがリードするmコマースとは異なり、モバイル広告はアメリカ市場がトップに立つ。これはアメリカ企業の広告支出額が大きいためだ。2018年にでもアメリカのモバイル広告の規模は中国、日本、韓国を合わせたよりも大きいだろう。モバイル広告がネーティブ化するに従い、 モバイル利用時間が爆発的に増大しているのにモバイル広告の伸びがさほどでもないというギャップは埋められていくだろう。

Top 10 advertising countries

ゲームは依然としてアプリのキング

コンシューマ向けアプリの売上は2014年の300億ドルから2018年には750億ドルへ成長するだろう。昨年、ゲームは世界のアプリ売上の4分3を占めており、 Androidの売上がiOSの売上を初めて抜いた (中国市場を含む)。

Consumer apps revenue forecast

モバイル・インターネットの歴史はわずか7年しかないが、オンラインビジネスに与えた影響はウェブが登場して20年のすべてに匹敵する。主要分野ではある程度大勢が決まっているが、これから急成長する分野がまだ数多く残されているはずだ。

Digi-Capitalの予測レポート全文はこちら

画像: Sergey Nivens/Shutterstock

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。