モバイル用のプロトタイプを、ネイティブアプリケーション上で動作させるProto.io

ここ数年で大きく成長しつつある、モバイルアプリケーションのプロトタイピング作成サポートツールのProto.ioが、注目すべき新たな機能をリリースした。簡単にモバイルアプリケーションを作成するだけでなく、そのプロトタイプの動作を確認するためのネイティブアプリケーションが登場したのだ。iOS版およびAndroid版があり、双方の環境で、プロトタイプを実際のアプリケーションのように動かしてみることができる。

このアプリケーションを使うことで、フルに動作するアプリケーション風のものをスマートフォン上で動作させながら、プロトタイプに変更を加えていくことができるようになるわけだ。一般的にプロトタイプツールといえば、ブラウザ上で動作を確認するようなものが多いが、そこから比べると大きく進化したものということができよう。

CEOのAlexis Piperides曰く、「フルスクリーンでの動作環境を提供したかったのです」とのこと。以前はProto.ioでもプロトタイプはモバイル版のSafariやChromeなどのブラウザ上で動作させていた。しかしブラウザにはタイトルバーやアドレスバーなど独自のUIが備わっているし、必ずしもプロトタイプ表示に最適であるというわけでもなかったのだ。

また、アプリケーションを媒介することにより、作成したプロトタイプをiPhone、iPad、そしてAndroidデバイスで動かしてみることができるようになった。作成した環境と異なる環境の人に見てもらう場合にも、簡単にアプリケーション経由で見てもらうことができるようになったのだ。

もともとはキプロス発のプロジェクトで、クライアントサイドの開発をいろいろと行っていた。プロトタイピングツールはもともと自分たちで使うためのツールとして開発したものだった。きちんとしたデザインを行って開発をすると費用もかかるので、その前にアプリケーションの「テスト版」を見せて評価を促したいと考えてのものだったわけだ。しかし作ってみると、一般の人も多いに興味を持つツールができあがっていた。そこで2年半ほど前に、このプロダクトのスピンアウトを行ったわけだ。

昨年になって、Piperidesは拠点をアメリカに移し、アメリカの企業としてProto.ioを立ち上げた。今やこのフリーミアムサービスは7万の利用者を抱え、少ないながら1500の有料会員を抱えることとなっている。有料プランは月額24ドルから用意されていて、企業向けにはより高価なプランも用意されている。

また、サービスはいくつかのビッグネームによっても利用されている。たとえばPayPal、eBay、Disney、Sportify、あるいはEvernoteなどもユーザーに含まれる。他にも大小問わずさまざまな企業に利用されているし、もちろんフリーランサーによる利用も多い。

アプリケーションプロトタイプを提供するサービスには、Invision、Flintoなど最近注目を集めているところもある。またAxureやJustinmindなどのように便利なプロトタイプオーサリングツールを提供しているところもある。Proto.ioは、これまでもプロトタイプ作成時の機能や使い勝手のよさで他サービスと競ってきていた。機能比較についてはきっとこちらのサイトも参考になるだろう。

実際に動作するプロトタイプを簡単に作成できれば、たとえばメニューの反応の様子を示すためのPhotoshop画像なども必要なくなる。実装しようとするメニューを配置して、それぞれのメニューからのリンクを設定することで、より簡単に具体的なイメージを掴んでもらうことができるようになる。またもし必要なのであれば、カスタムアニメーションなどを利用することもできるようになっている。

「私たちは非常に強力なアニメーションエンジンを持っています。さまざまなアニメーションを使ってもらえますし、またタイムライン上にて、アニメーションの継続時間などを指定することもできるようになっています」とPiperidesは言っている。

さらに、もともとはスマートフォン用のデザインツールとして開発したのではあったが、smart TVやゲーム機、冷蔵庫、目覚まし時計、車(AppleのCarplayもここに含まれる)などに向けた開発にProto.ioを利用しようとする人も増えてきた。さまざまな環境に対するニーズが高まる中、Proto.ioとしてはAndroid Wearスマートウォッチには対応できるようになっている。

シード資金こそ少額であったものの、シリーズAではサンフランシスコでチーム展開を可能とする人材を得るのに充分な金額を得ようとしている。

Proto.ioのアプリケーションはiTunesのこちらないしGoogle Playで入手できる。

訳注:上のスマートフォン画面はスクロールして見ることができます。

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(翻訳:Maeda, H