ヤフーもDeNAもスタートアップも、みんな「DNA」ビジネスに興味アリらしい

DNA検査キットを販売している「23andMe」が米国で立ち上がったのは2006年の話だし、オンラインでなければDNA検査をすることはできないわけではなかった。でも今、スタートアップから大手まで、国内IT企業がDNA関連ビジネスに注目している。

5月末に開催された招待制イベントの「Infinity Ventures Summit 2014 Spring」。同イベントの恒例企画ともなっているスタートアップのプレゼンイベント「Launch Pad」では、遺伝子検査に加えて、血液検査や生活習慣や食習慣のデータをもとに、スマートフォンアプリでダイエットを指導するFiNCの「REPUL」や、届いたキットに唾液を入れて返送すれば、疾患リスクや体質など約200項目についての遺伝子を調べてくれるゲノム解析サービス「ジーンクエスト」が登壇した。特にジーンクエストは、従来の遺伝子検査と異なり、ゲノムの全体をスキャンしてデータ解析をするため、一生に一度検査を受けると、医学の知見が増えるつれて遺伝子から分かるデータが増えるそうだ。

またヤフーでは、6月2日にYahoo! JAPANの利用規約のうち、プライバシーポリシーの項目について改定を実施している。具体的には、(1)カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社との情報連携開始に伴う改定、(2)「HealthData Labo」の開始に伴う改定、(3)外部研究機関等との共同研究におけるデータ取り扱いへの対応に伴う改定、(4)官公庁に対して行う任意の情報提供への対応に伴う改定‒‒の4点だ。このうちの(2)が、DNAに関連する話となる。最新の規約には次のような文言がある。

また、当社は、お客様が利用されたサービスやソフトウエア、購入された商品、ご覧になったページや広告の履歴、お客様が検索された検索キーワード、ご利用日時、ご利用の方法、ご利用環境(携帯端末を通じてご利用の場合の当該端末の通信状態、ご利用に際しての各種設定情報なども含みます)、お客様のIPアドレス、クッキー情報、位置情報、端末の個体識別情報、病気予防のためのエビデンス(根拠)情報の収集、獲得、創出のためのプロジェクトおよびその一環としてなされるゲノム解析サービスに申し込まれたお客様から提供いただいた試料を検査し、解析した結果得られるお客様の遺伝子に関する情報等(以下「遺伝子情報」といいます)などの情報を、お客様が当社や当社の提携先(情報提供元、広告主、広告配信先などを含みます。以下「提携先」といいます)のサービスをご利用になったりページをご覧になったりする際に取得します。

(2)の項目で挙げられているとおり、ヤフーでは今秋にもHealthData Laboと呼ぶ、遺伝子情報解析をもとにした生活習慣の改善支援サービスを展開する予定だ。このサービスは、前述のジーンクエストと提携したものになる。そういえばヤフー副社長COOの川邊健太郎氏などは、1年以上前から医療分野への興味を語っていた。

ただ規約の変更を読み解く限りは、遺伝子情報をビッグデータとして扱うことも想定しているようで、単なる生活習慣改善にとどまる話ではないことが想定できる。

さらには6月3日、ディー・エヌ・エー(DeNA)が新会社の「DeNAライフサイエンス」にて、一般消費者向け遺伝子検査サービス「MYCODE(マイコード)」を提供すると発表した。

ネット上では「DeNAがDNA検査事業を開始」とダジャレのようにも言われたが、新会社では東京大学医科学研究所と共同で事業を展開するという。サービスは7月下旬にはお披露目される予定だ。

冒頭にあった23andMeは、米国では食品医薬品局(FDA)から販売停止の命令が出たり、法整備の議論も進んでいるそうだ。果たして国内ではどのように受け入れられるのか。


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。