ユニコーンIPO時代をドットコムバブル時代と比較してみる

テクノロジーIPO市場を表すグラフならいくらでも描くことができる。しかし、未知の領域に対する我々の強い不安を取り除いてくれるものはない。

これほど多くの高収益、高評価額の企業が上場し、巨大な損失を続けている状態はかつてなかった。もしあなたが「成長がすべて」タイプの投資家なら、IPOの国は最高の時を迎えている。もしあなた、利益を重視する古いタイプの投資家なら、今はじっとしているほうがいいかもしれない。

利益よりも市場支配優先の信者たちは、先週最大のIPO機会を得たことだろう。Uberが待ち焦がれた市場デビューを果たした。640億ドル前後をさまようUberの時価総額は、当初噂されていた目標額の1200億ドルよりはるかに低い。それでも、Q1決算で売上30億ドルに対して損失10億ドルを計上した企業としては十分高すぎると主張する人もいる。

では、Uberの売上、損失、評価額は最近のユニコーンIPO集団の中でどのような位置づけにあるのだろうか?わかりやすくするために過去3四半期に上場したテクノロジー・ユニコーン15社を表にまとめてみた。評価額および2018年の売上と損失を比較したのが下の図だ。

これらの企業を全部ひっくるめてまとめると、巨大な赤字スーパーユニコーンが1頭出来上がる。このリストを何四半期後かにもう一度見てパターンの変化や黒字会社が増えているかどうかを比べたら面白いだろう。

歴史

これを10年前のドットコムバブルと比べるのは簡単だが、今回は様相が異なる。ドットコムバブルの頃には、こんなリード文が書かれていた。

「インターネットIPOの時代にテーマソングを作るとしたらこうなるだろう。There’s no business like no business(商売がなくていいほど素敵な商売はない)」

設立から数年後のまともな利益もないうちに上場していたバブル時代の企業にはぴったりの言葉だ。

その件は今回使えない。ユニコーンIPO時代のテーマソングを作るとしても、同じようにそそるものは作れそうにない。せいぜいこんな感じだろうか、「There’s no business like lots of business and lots of losses too.(たくさんの商売とたくさんの損失ほどすてきな商売はない)」。

私はそのミュージカルのチケットを買うつもりはない。しかし、IPO株を買うとすれば、ユニコーンの提案は2000年頃よりも少々魅力的だ。つまるところ、市場シェアを支配している企業がいずれ利益を上げるのは十分ありそうなことだ。売上をゼロから数百万ドル、数十億ドルへと成長させるほうがずっと難しい。投資家が連続する損失への投資を嫌うようになればなおさらだ。

もちろん、ドットコムバブルとユニコーンIPOには共通するテーマがある。「投資家は将来の可能性の楽観的ビジョンに賭けている」ことだ。もし期待が実を結ばなければ、株価も後を追うことを覚悟しなくてはならない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。