ユーザーがニーズに合わせてAIを訓練、パーソナライズできるAlexaの3つの新機能

Amazon(アマゾン)は、消費者がAlexa体験をさらにパーソナライズできる3つの新機能の展開を準備している。簡単なツールを使ってAlexa(アレクサ) AIのトレーニングを行えるようにするのだ。数カ月後には、家庭内で鳴っているドアベルやインスタントポットのチャイム音などの特定の音を識別するといった仕事を、消費者がAlexaに教えることができるようになる。また、Ring(リング)ユーザーの場合は、閉まっているはずのドアが開いているといった、何かが視覚的に変化したことをAIが気づくことができるようになる。さらに、好きなスポーツチームや好みの天気予報アプリ、食べ物の好みなどを、自分の好みに合わせてAlexaにはっきり指示を出すことができるようになる。

この機能は、アマゾンが最新のEchoデバイスやその他の新しいハードウェアを発表する秋のイベントで、米国時間9月28日紹介された。

この新しい音識別機能は、Alexaがすでに提供しているAlexa Guard(アレクサガード)という機能をベースにしている。この機能は、ガラスが割れる音や、火災や、一酸化炭素の警報音など、特定の音を識別することができるため、外出中の人や耳の不自由な人にとっては、緊急事態が発生しているかもしれないことを知ることができて便利だ。さらにサブスクリプションをアップグレードすると、スマートカメラが家の外の動きを検知したときに、犬の鳴き声を再生することもできる。

このAlexaの音検知機能を、今回アマゾンは、必ずしも緊急事態ではないものへどのように利用できるかを考えている。

画像クレジット:Amazon

新機能によって、消費者は自分にとって重要な特定のタイプの音を聞き分けるようにAlexaを訓練することができるようになる。例えば、鍋のビープ音、オーブンのタイマー、開けっ放しにしておくとビープ音が鳴る冷蔵庫、ガレージのドアが開く音、ドアベルの音、水の流れる音など、繰り返し同じような音が鳴り特定しやすいものがある。

6個から10個のサンプルをAlexaに与えることで、Alexaはこの音が何であるかを「学習」する。これは、アマゾンがAlexaに他の音を学習させるためにかつては数千個のサンプルを必要としたことに比べれば大幅に削減されている。ユーザーは、Echo(エコー)デバイスやAlexaモバイルアプリから直接、Alexaに新しいカスタムサウンドを教えることができる。

ただし、登録やトレーニングのプロセスはクラウド上で行われる。とはいえ、実際の利用時の音の検出はデバイス自体で行われ、登録が終わった後にアマゾンが音声をクラウドに送ることはない。

一度学習させれば、ユーザーはAlexaがその音を聞いたときに、自分で設定した通知やルーティンを起動するように選択することができる。たとえばAlexaがドアベルの通知をFire(ファイア)TV上に表示することで、アクセシビリティの観点や高齢者介護にも役立つ可能性がある。その他にも、たとえばガレージのドアの音がしたら、Alexaが「おかえりなさい手続き」を起動して、照明をつけたり、好きな音楽をかけたりするといった日常生活を支援することができるようになるかもしれない。

アマゾンによると、Custom Sound Event Detection(カスタムサウンド・イベント検知)機能は2022年にはローンチされるという。

同様に、消費者はRingカメラに搭載されたAIを訓練して、カメラの視野上で関心のある領域を特定し、その領域が変化したかどうかを判断することができるようになる。この「変化」は今のところ、2つの状態に区別できるものでなければならない。例えば、物置の扉が開いているか閉じているかといった状態だ。バリエーションの多い、より特殊なものには対応できないかもしれない。

Custom Event Alerts(カスタムイベント通知)と呼ばれるこの機能は、数カ月以内にRing Spotlight Cam Battery(リング・スポットライト・カム・バッテリー)の利用者が使えるようになる。

Alexaの最後の新機能は、食べ物やスポーツ、スキルプロバイダーに関するユーザーの好みを、スマートアシスタントが学習できるようになるというものだ(これらのスキルはAlexaデバイス上で実行されるサードパーティの音声アプリだ)。利用者は「アレクサ、私の好みを覚えて」などということで、Alexaを教え始めることができるようになる。しかし、この学習はもっと繊細な方法でも行うことができる。例えば、Alexaに近くのレストランを尋ねた際に、続けて「アレクサ、私たちの中にはベジタリアンの人がいます」などということで、ステーキハウスを候補から外させることができる。

一方、Alexaがあなたのお気に入りのスポーツチームを学習した後は、スポーツハイライトを質問した際に、あなたのお気に入りのチームのハイライトをAIがより多く盛り込んでくれるようになる。

また、Alexaにどのサードパーティ製スキルを使用したいかを伝えれば、AIアシスタントは以降、自身のネイティブな応答ではなく、そのスキルを使用することをデフォルトとする。

とはいえ、今のところ、対応しているサードパーティスキルは天気予報だけだ。それをアマゾンは時間をかけてより多くのスキルへと拡大したいと考えている。このことは、ユーザーが起動したいスキルを覚えられないことに起因する、スキルの利用率の低さを解消することができるだろう。この機能によって「一度設定したら忘れてしまって良い」式のカスタマイズが可能になる。つまり良いスキルを見つけたら、それをデフォルトに設定することで、あとは自然な言葉で(たとえば「お天気は?」など)話すことができるようになる。

アマゾンによると、この嗜好データは匿名化された顧客IDにのみ関連付けられていて、調整も可能だという。例えばベジタリアンの人が肉も食べるように戻った場合には、次にAlexaにレストランの候補をたずねる際に「アレクサ、私はベジタリアンじゃない」ということができる。このデータは、Amazonサイトでのショッピングのお勧めをカスタマイズするためには使用されないとアマゾンはいう。

この「嗜好ティーチング機能」は、年内に利用できるようになる。

アマゾンはこれらの機能を、アマゾンが「アンビエント・インテリジェンス」(環境知性)と呼ぶものをより多くの人々に提供するという目標に向けた、さらなるステップであるとしている。

AlexaのSVPで主任サイエンティストであるRohit Prasad(ローヒット・プラサド)氏は、アンビエントAIについて「あなたのことを学び、あなたがそれに合わせるのではなく、あなたのニーズに合わせることができるものなのです」と指摘している。

「Alexaは、私にとって単なる音声言語サービスではありません。むしろ、自分の周りの多くのデバイスで利用できるアンビエント・インテリジェンス・サービスであり、環境の状態を理解し、さらには自分に代わって積極的に行動することができるものなのです」と述べている。

画像クレジット:Amazon

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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