ユーザーはGoogle+を使っていることに気づかないという調査結果―「コンテンツごちゃまぜ」作戦が効果を増している

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編集部:この記事はConde NastのPARADE Magazineの上級開発者、元Forbes記者のTaylor Buleyの寄稿〕

Google自身が昨年12月に発表したところによると、Google+の登録ユーザーは5億人、G+ボタンを押すなどなんらかの活動しているユーザーは2億3500万人、実際にGoogle+ストリームにアクセスするユーザーは1億3500万人だという。しかし別の調査によると、実態はもう少し複雑らしい。

Pewリサーチ・センターが最近発表したソーシャル・メディア調査によると、オンラインの成人の67%がFacebookを利用していると回答している。Pinterestは16%、Twitterは15%だった。ところがこの調査結果にはGoogle+(世界でナンバー2のネットワークと自称)がまったく出て来ない。

調査を企画したMaeve Duggan,によれば、これには理由があるのだという。「本番の調査の前にテスト調査で、われわれはGoogle+を他のGoogleサービスと区別することが非常に難しいことを発見した。そのため今回の調査ではGoogle+を対象から除外せざるを得なかった」とDugganはTechCrunchへのメールで説明している。

トラフィックをサードパーティーが推測するのはいつでも難しい作業だ。たとえばTrendstreamはGlobalWebIndexという調査を最近発表し、Google+のユーザーを1億5000万人としている。この数字はその後ウェブ上のあちこちで引用されているが、調査方法などその裏付けとなると明らかでない。PewのDugganの説明が正しくて、自分が単にGoogleのアカウントを持っているだけなのか、実際に何らかの形でGoogle+を使っているのかユーザーが区別しずらいとするなら、GlobalWebuIndexの調査結果も見直しが必要だろう。

PewのDugganに私は「ユーザーがgmail、googleドキュメンその他のGoogleサービスとGoolgle+を区別しにくいという理由は何だと考えるか?」と尋ねたたが、Dugganは「われわれはデータの背後の事情について推測はしないことにしている」という返事だった。しかし敢えて推測するなら、たとえば一般ユーザーはBacon numbers〔ケビン・ベーコンと他の俳優との共演関係の次元数〕やさまざまなウェブ・ツールなどをそもそもGoogleが提供していることさえ意識しているか疑わしい。

Googleの競争相手にとって悪いニュースは、Pewの調査で明らかになったようなGoogleのさまざまなサービスやコンテンツの「ごちゃ混ぜ」作戦が効果を増しているように見えることだ

昨年のFTC〔連邦取引委員会〕のGooogleの反競争的行為に関する調査はおおむね不発に終わったものの、検索と他のサービスの関係が不透明だというのが主要な疑惑の一つだった。たとえばレストラン・レビューのYelpは、「Googleは自社の劣った同種のサービスを有利にするために検索結果でYelpの情報を歪めている」と主張した

Googleには批判が集まったものの、結局「検索やオンライン・サービスは非常に競争の激しい市場であり、競合サービスがより優れていればユーザーは一瞬で乗り換えることができる」という主張が認められた。 Googleは10の事実というマニフェストで大胆にも「ユーザーが一刻も早く自社のホームページから離れることを目標にしている会社は、世界中でもおそらく Google だけでしょう」と述べている。

Googleの競争相手にとって悪いニュースは、Pewの調査で明らかになったようなGoogleのさまざまなサービスやコンテンツの「ごちゃ混ぜ」作戦が効果を増しているように見えることだ。Googleのさまざまなサービスに導入された黒いGoogleバーはGoogle+と他のプロダクトの混合を効果的に助けている。またGoogleはAdPlannerサイトでウェブの主要なドメインのトラフィックをすべて公開している―ただしGoogle.com自身のデータは公開していない

しかし情報が混沌としているのはGoogleだけではない。たとえばPinterestにしても2012年にForbesは「Pinterestのトラフィックは巨大だが、売上はついていっていない」という記事を掲載した。しかし最近のEntrepreneurの記事ではそれと逆に収益性も順調に改善しているとしている。

またサービスが違えば、ユーザー数の意味あいも違っている。Twitterのアカウントを取得したユーザーと、Googleのサービスのどこかで「Google+にアップグレード」というボタンを押しただけのユーザーを同じに扱ってよいかどうかという疑問も出てくる。

当面もっとも信頼性が高いのはISPのハードウェアでパケットをモニタすることだろう。この方法はプライバシーに関して疑念なしとしないが、それと別にNielsenがWallStreet Journalの取材に対して答えたところではNetflixがDRMで保護されたビデオのパケットを暗号化しているためトラフィック調査は困難だったという。こうした動きは次第に広がりそうだ。

とはいえ、Google+にせよ他のソーシャル・サービスにせよ、理解するためにユーザーの細かい数字がどうしても必要というわけではない。Facebookは時折大台に乗ったことを発表して大いに強い印象を与えるのに成功しているが、そうした公式の数字なしでもわれわれはサービスの勢いを十分に感じることができる。Google+にせよ他のサービスにせよ、われわれのユーザーとしての実感がいちばん確実な情報源だ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+

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TechCrunch Japan

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