リモートワークに副業もOK、時間と場所に縛られないIT求人サイト「パラフト」

優秀な人材を獲得するためにオフィス環境を充実させるネット大手が増えている。ランチ無料のカフェテリアは当たり前、最近では美容室マンガ喫茶図書館マッサージルーム、そしてなぜかバスケットコート付きのオフィスまである。とはいえ、こうした手厚い福利厚生で勝負できる企業はごくわずか。特に資金力がないスタートアップにとって、どうすれば優秀な人材を獲得できるかというのは大きな課題だ。

その1つの解となり得るかもしれないのが、多様なワークスタイルを許容する企業の求人情報を扱う転職・求人メディア「Paraft(パラフト)」だ。パラフトでは、副業やリモートワーク、早期帰社など柔軟な働き方が可能な正社員の求人情報のみを掲載する。高額な給与を支払うのが難しい企業でも、働く「時間」と「場所」を譲歩することで、優秀な人材を獲得できる可能性もありそうだ。

現在、ウェブページ上で求人掲載企業、求職者の事前エントリーを受け付けており、来年1月末にβ版として20社前後の掲載でスタートする。現状では家計簿アプリ「Dr.Wallet」のBearTailオンライン学習塾「アオイゼミ」の葵、クラウド型マニュアル作成ツール「Teachme」のスタディストといったITベンチャー企業がエンジニアやマーケター、セールスの人材を募集する予定だ。

パラフトを運営するリライドは、得意なプログラミング言語やスキル、希望報酬をサイト上に登録したエンジニアと企業をマッチングする「PROsheet(プロシート)」を手がけるシェアゼロの子会社。プロシートでは業務委託契約としてエンジニアを企業に紹介していたが、パラフトではあくまで正社員雇用が前提となっている。サービス名はパラダイムワークシフトの略称。従来の求人掲載情報に「働き方の選択」という角度から求職活動を支援したいという。

場所や時間を問わない働き方としてはクラウドソーシングに注目が集まっているが、リライドの中川亮社長は「高報酬な案件は少なく、プロフェッショナルな人は動かない」と指摘する。優秀な人材の中には「家庭の事情で残業ができない」や「副業もしたい」といった理由で転職できない人もいるが、実際にサイボウズでは多様なワークスタイルを認めることで離職率が28%から4%に下がった事例もある。中川氏は「一部の企業では柔軟な働き方が浸透しているが、こうした求人情報を集めることで優秀な人材の流動化を加速させたい」と意気込んでいる。


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。