リモートワーク時代のための高速で直感的なドキュメントエディター「Almanac」

ここ数年、Googleドキュメントの後継を支援することほど、シリコンバレーを拠点とする投資家の注目を集めているものは他にない。その確固たる評価を得た生産性スイーツは、さまざまなプロダクトへと分散し再パッケージ化され、マルチビリオンダラーのテックスタートアップを数多く生みだした。

その間ずっと、起業家たちは先人たちが絞った知恵の穴を探し、より早く、よりスリムでわかりやすいものを作り続けてきた。数多くある現世代の生産性スタートアップにとって、GoogleドキュメントとMicrosoft Officeに取って代わる旅は、2020年来のパンデミックによってリモートワークソフトウェア会社に注目が集まったことで、歴史的な刺激を与えられた。

「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、自分たちの働き方を変えなくてはいけないということを全員に知らしめました」とAlmanac(アルマナック)のCEO Adam Nathan(アダム・ネイサン)氏がTechCrunchに話した。「私たちが生産性ツールの中心として使っていたMicrosoft WordとGoogle ドキュメントは、今とまったく異なるタイプの仕事をしていたときのためのものです」。

Almanacは、ドキュメントエディターをNotion(ノーション)などのプロダクトより速く、従来のスイーツよりもはるかに直感的なパッケージへと改良しようとしている、とネイサン氏はいう。2020年、同スタートアップは、Floodgate(フラッドゲート)がリードしたシードラウンドで900万ドル(約9億8000万円)調達し、ベータ版の初期参加ユーザーたちのネットワークを静かに構築している。

画像クレジット:Almanac

このドキュメントエディターは、Dominoの店舗から動物病院までテックスタートアップ以外のさまざまなオフィスに進出を果たした。オープンソースのテンプレートライブラリー「Core」は、1対1ミーティングのやり方からカスタマーサービスチームの給与体系の作り方まで、ユーザーが投稿した手引書が集まるハブとなっている。Coreには5000件のドキュメントがあり、ログインしているユーザーならだれでも利用できる。全米の企業やオフィスが物事を行う確立した方法を求め始めている今、会社にとってかなり大きい顧客チャンネルと言える。

「ドキュメントを扱う人はシリコンバレーの中よりも外のほうがはるかにたくさんいます」とネイサン氏はいう。

ドキュメントエディターであるAlmanacの特徴は、ファイルをその会社で実際に行っている管理方法に合わせて管理できることだ。

目玉機能の1つが、ドキュメントの変更履歴の扱い方で、Googleドキュメントがまったく無能なものであるかのように感じさせる。ユーザーはドキュメントの自分用のコピーを作って編集し、オリジナルに統合した後、変更箇所を承認する、というプロセスを簡単にできる。さらに上司やネットワーク上の別のユーザーの承認を得たりフィードバックを依頼することもできる。

もう少し考慮が必要な仕事には、Almanacを使ってドキュメント自身の中にある別のユーザーのToDoリストにタスクを追加することができる。以前ならAsana(アサナ)のようなプロジェクト管理ツールを必要とした機能だ。指示を出したり出されたりした項目の情報更新は各自の受信箱に入り、ドキュメントの変更にともなって自動的に通知が流れる。Almanacの中にこうした機能があることで、企業ユーザーは不必要なSlack利用を減らし、ドキュメント自身に語らせることが可能になる、とAlmanacは信じている。

会社は新たなワークフローへとすばやく対応している。最近同社は、ハンドブックの作成と更新に特化した機能を公開したほか、よく使われるテキストブロックを保存しておき、新しい文書をすばやく作成する「Snippets」という機能も追加した。

混み合った生産性ソフトウェアの世界で、Almanacの成否はユーザーが同社製品を全面的に信じることにかかっている。それは生産性ツール群が混乱を取り除くと自称するツールであふれかえるポストMicrosoft時代における典型的な苦闘だ。多くの場合それはツール自身の問題ではなく、新しいソフトウェアをどうやって選ぶかという組織の問題だ。Almanacは、共通するワークフローをドキュメントの中に押し込むことで、ユーザーが別のアプリを開きたい衝動を抑え、1つのプラットフォームにフィードバックを集約することの利益を認識することを期待している。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AlmanacテキストエディターGoogleドキュメントリモートワーク

画像クレジット:Almanac

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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