ルネサス出身者が設立した不揮発メモリーベンチャーのフローディアが16億円を調達

不揮発メモリーのIPライセンス事業を展開するフローディアは7月5日、シリーズBラウンドで合計9社の投資家から16億円を調達したと発表した。投資家リストは以下の通り:

ルネサスエレクトロニクス出身のエンジニアが設立したフローディアの特徴は、そのビジネスモデルにある。

同社は、メモリ製造に必要な工程や回路をIP(回路情報や製法)としてライセンス提供するビジネスモデルを展開している。つまり、顧客からの要求スペックに応じた最適なメモリの開発設計を行う一方で、その先にある製造は自社で行なわず、製造に必要な情報をライセンスとして売り出すモデルだ。

フローディアと同様に知的財産をもとにしたビジネスモデルを展開するのが、2016年9月にソフトバンクが約3.3兆円をかけて買収したAMRで、このようなモデルは資本効率が極めて高いとされている。参考として紹介すると、ARMが発表した最新の決算報告によれば、その営業利益率は48%となっている。

不揮発メモリー開発に強み

フローディアが得意とするのは、電源供給を行なわない状態でも書き込まれたデータが消えない不揮発性メモリー(参考)の開発だ。また、同社は追加コストを抑えながら不揮発性メモリーを他の演算用半導体と同じチップに埋め込む技術をもち、これにより低コスト化と省スペースを実現している。

さらに、ゲートと基盤のあいだに高電圧をかけて不揮発メモリー化させる”FNトンネル方式”を利用したフローディアのメモリーは、セル1個あたりの消費電力が従来の10〜100万分の1程度に抑えられているそうだ。

このような省スペース、省電力という特徴から、フローディアが開発する組込型不揮発性メモリーはIoTデバイスや車載用部品などへの利用に適しているという。

本ラウンドに参加した産業革新機構の代表である勝又幹英氏は、「フローディアが開発・提供する組込型不揮発性メモリは、省電力・省スペース・低コスト化の要求を確実に実現することにより、車載アプリケーションへの対応に加え、従来の組込型不揮発性メモリの適用領域を大きく超える可能性を持っている」と語る。

2011年創業のフローディアは、2015年6月に産業革新機構などから8億円を調達している。同社によれば、「これまでの開発成果を事業に拡大すること」が今回のラウンドを実施した目的だ。

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TechCrunch Japan

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