レシピから食事プランを作成、食材を自動的に買い物かごに入れてくれるLollipop AIのオンライン食料品マーケットプレイス

今回のパンデミックによって、オンラインで食料品を購入するようになって以来、私はいつも、なぜスーパーマーケットは、手作り料理に必要なアイテムを自動的に集めてくれるような、簡単な「レシピ」機能を提供しなかったのだろうと考えていた。それは、まだ手をつけられていないチャンスのように思えた。だがそれもこれで終わりだ。

英国の新しいオンライン食料品マーケットプレイス「Lollipop AI」(ロリポップAI)は、その機能を果たすパブリックベータ版を英国時間6月29日に公開した。このマーケットプレイスは、英国の成功したスタートアップ企業であるOsper(オスパー)、Monzo(モンゾ)、Curve(カーブ)の立ち上げに参加した英国人の連続起業家によって立ち上げられた。

創業者でCEOのTom Foster-Carter(トム・フォスター-カーター)氏が思い描くのは、複数のレシピから食事プランを作成し、食材を自動的に買い物かごに入れ、残りの生活必需品を提案するというプラットフォームだ。フォスター-カーター氏によれば、Lollipopは、健康上の目標を達成したり、料理スキルを向上させたり、食品ロスを最小限に抑えたりするために役立つだろうという。システムはマーケットプレイスとして構築されており、Sainsbury’s(セインズベリー)やBBC Good Food(BBCグッドフード)をはじめとする多くのパートナーと提携し、実際のフルフィルメントは小売のパートナーが行う。ビジネスモデルとしては、小売のパートナーから少額のコミッションを受け取り、消費財ブランドのオーナーなどからの広告も許可する予定だ。

サイトは無料で利用できるが、有料プレミアムプランも予定されている。ウェイトリストに登録した最初の1万人のベータテスターには、プレミアム機能へのアクセスが「生涯にわたって」提供され、価格は通常のスーパーマーケットと同じレートで提供されると、スタートアップは述べている。

フォスター-カーター氏は、自身の子どもが生まれた後、普通のスーパーマーケットを利用するのに何時間もかかっていることに気づき、このアイデアを思いついた。彼はこのアプローチで、一般家庭では週に数時間の節約になるはずだという(彼は、毎週の買い物をした後にこのようなサイトを作らなければならなかったという事実も簡単に指摘しておこう……)。Lollipopは、80%の家庭が1週間に1時間以上の時間をかけて食事の計画を立て、オンラインで食料品を購入していると述べている。

Lollipop MealPlanner(ロリポップ・ミールプランナー)

創業チームには、共同創業者のChris Parsons(クリス・パーソンズ)氏やIb Warnerbring(Ibワーナーブリング)氏などをはじめとして、Monzo、Farmdrop(ファームドロップ)、Amazon(アマゾン)、Sainsbury’s、HelloFresh(ハローフレッシュ)の元社員たちが名を連ねている。

フォスター-カーター氏は、このアプローチのためにどれだけの資金を調達したかについては口を閉ざしているが、JamJar Investments、Speedinvest、そして「食料品 / テクノロジー界の大物たち」であるIan Marsh(HelloFreshの元英国GM)や英国内外のオンライン食料品店の元リーダーや創業者たち、さらに「スーパーエンジェル」のCharles Songhurst(チャールズ・ソングハースト)氏やEd Lando(エド・ランド)氏たちが支援するプレシードラウンドを行ったという。

特に、ダイエットをしたい人にとっては、食事の計画が簡単になり、レシピボックス(レシピ提供)のスタートアップにも影響を与える可能性がある。

Lollipopのような野望を抱いている企業は他にもある。米国のJupiter.co(ジュピター.co)は 自身を「groceries on autopilot(食料品自動操縦)」と呼び、Jow(ジョー)は「recipe-led shopping(レシピを決めてお買い物)」を提供し、Side Chef(サイドシェフ)も同様のサービスを提供。またCooklist(クックリスト)は「食事の計画と料理のサポート」を米国で展開している。

フォレスター-カーター氏はこう語る「これはマーケットプレイスなので、私たちは従来のスーパーマーケット(Sainbury’s、Tescos、Waitroseなど)や、オンライン小売店(Ocado、Amazon)、農場直送 / オーガニック(Riverford、Farmdrop)、専用目的の単一商品(Oddbox、Milk & Moreなど)、レシピボックス(Gousto、Hello Fresh、Mindful Chefなど)、そして迅速デリバリー(Gorillas、Getir、Weezyなど)と提携することができます。

これは始まりに過ぎません。すべての食品に対するニーズを1カ所でまかなえるようにするのが私たちの計画です。Deliveroo(デリバルー)やレストランキット(Dishpatchなど)も当社から注文できるように致します。食料品はパートナーから届けられ、料理をする際には、料理用のコンパニオンアプリ(2021年7月公開予定)を使うことができます。将来的には、Lollipopを通じてお料理の腕を上げることができるでしょう」。

たくさんの商品(50~100個以上)を極めてすばやく購入できる機能を実現しているプレイヤーは、Amazonも含んでほとんど存在していない。もし上手く実現できたならそれはLollipopにとって独自の強みとなるだろう。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Lollipop AIイギリスレシピ食品ショッピング

画像クレジット:Lollipop AI

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(文: Mike Butcher、翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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