ロシアの大手Yandexがシェア型eスクーターWindのテルアビブ事業を買収、イスラエルでの事業を拡大

ロシアの大手ハイテク企業であるYandex(ヤンデックス)が、シェア型eスクーター企業Wind(ウィンド)のイスラエルでの事業を買収し、イスラエルにおけるモビリティ事業を拡大しようとしている。両社は取引条件を明らかにしていないが、イスラエルの金融紙Globes(グローブス)が、価格は4000万ドル(約45億4000万円)から5000万ドル(約56億7200万円)だと推定されると報じている

Windは、Lime(ライム)、Leo(レオ)、Bird(バード)といった競合他社と並ぶ、イスラエルでトップクラスのeスクーターシェアリング事業者だ。Yandexは、すでに2018年からイスラエル国内でモビリティプラットフォームYango(ヤンゴ)を運用しており、配車サービスを皮切りに、ラストワンマイルデリバリーやフードテックなどに取り組んでいる。Yandexによれば、Windを買収することで、幅広いラストマイルと交通手段のソリューションを提供することが可能になり、自社のエコシステムを拡大することができるという。

Yangoが、新しく増えた車両を活用して、配達サービスを拡大していくことも考えられる。例えば、最近Yandexは、テルアビブ市周辺のダークストア(EC流通センター)のネットワークを利用した、食料品の即時配達サービスYango Deli(ヤンゴ・デリ)を開始した。まずは14カ所のダークストアから始めて、11月末までには数を倍増させる予定だ。

今回の買収には、Windが保有する1万台以上のシェアリング用スクーター、イスラエル内のスクーターのインフラや運用システム、移動経路の最適化に関する研究開発などが含まれている。ベルリンとバルセロナを拠点とするWindは、今後も欧州での事業運営を継続していく予定だ。これまでに合計で7200万ドル(約81億7000万円)の資金を調達しており、現在テルアビブ都市圏の13都市で数万人の顧客にサービスを提供しており、累計で約400万回の移動が行われたという。

Yandexがロシア国内でYandex Go(ヤンデックス・ゴー)と呼ばれるスクーターシェアリングプラットフォームを開始したのは、今回のWindの買収のわずか数カ月前だった。ロシア国内でのスクーター保有台数は約5000台と言われているので、今回の合併でYandexの規模は倍以上になる。ロシアの顧客は、Windアプリからスクーターを予約できるようになるが、イスラエルでもYangoアプリからスクーターを予約できるようになる。

Yandexはまた、イスラエル、アナーバー、韓国自律走行型配達ローバーのテストも行っており、現地当局から関連する許可を取得次第、ロボットによる配達を開始できると述べている。

また近い将来、同社のロボタクシーをYangoプラットフォームに導入したいといっている。

Yandexの広報担当者はTechCrunchに対して「私たちは2019年初頭からテルアビブ市内やその周辺で自動運転車のテストを行っています。イスラエルには、他の実験地では得難い、技術を試すための条件や課題があるのです。例えばあらゆる種類のラウンドアバウト、無数の2輪車やマイクロモビリティ車両、そしてもちろん地中海の暑さと高い湿度です」と語っている。

Yandexによると、モスクワは寒冷地であるため、伝統的には自転車に適した都市ではないが、それでもロックダウン中およびロックダウン後にラストマイルデリバリーが急増し、モスクワの街には自転車に乗った宅配業者があふれたという。

Yandexの広報担当者は「幸いだったのは、私たちのクルマはすでに過酷な温度条件への対処方法を知っていたということです。テルアビブでの経験は、新型コロナ期間中のモスクワで大いに役立ちました」と語った。

画像クレジット:Wind

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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